第2話 恵のやりたいこと

豪雨だった事が嘘のように晴れ渡り清々しい太陽が何日も続いた。 恵と矢島の被る休日にジェットコースターに行く約束を交わした。 まるで小学生だな~と矢島は思った。

「なんだ、その顔。約束しただろう····私の大好きな豪雨への散歩を中止させ憂さ晴らしはジェットコースターでやれよって。言ってたよな~お前も付き合えって言葉に了承して約束したよな~矢島」

「言っている事が、まるで子供だよ····恵。俺は一緒に行ってもいいけどさ~一緒には乗らないよ」

「何、ふざけたこと言ってるんだ一緒に乗るんだよ」 もう、子供の言い分に矢島は約束したからには一緒に楽しむから今後も無茶しないでと再請求した。

「分かったよ、私もお前が嫌がる行動は極力控える。だから○日、私の車で行こう」

「電車で行こうよ」事故が起きた後で車は控えたかった矢島。(恵が完全復帰していること良く分かっているが)

「満員電車は嫌いだよ。痴漢が出るから」 初めて聞いた矢島は驚いた。

「尻も股間も触られ放題、騒いだところで被害者が女性ではないと分かると案外冷たいものだ、寧ろ高みの見物になって良い笑い者だ。だから、く·る·ま、だよ」恵は車で行くことを譲らなかった。 ○日 ジエットコースターに行く日になって矢島は酔い止めを飲んで出発した。(朝からご機嫌な恵が運転した)

「恵、ゲロ袋もってきてる?」

「大丈夫だよ。ジエットコースターに乗って思う存分吐いてくれ」 恵は乾いた笑い声をあげて矢島の片手を握り締め現地到着するまで手を離さず運転した。 ○○遊園地 ジエットコースターは人気の遊具なだけに最後尾で長い待ち時間を費やした。恵は文句も言わず矢島の手を握り締めおとなしく待っていた。なんだか幼児をつれ歩いてるお父さんだな俺は。(決して幼児ではない。自分と同じ年のわがままなオジサン) そんなくだらないことを話したり思ったりしている内に順番が巡り漸く乗れた。 矢島は心臓をバクバクさせながら係員の指示を聞いてシートベルトを閉められたら出発。

「ギャ~!」普段から音量の高い矢島がひときわ騒ぎ恵の悲鳴など矢島には聞こえなかったが恵はずっと矢島の手を離さず目線で矢島の様子を伺っていた。(やはり私の安定剤は可愛いな)右の口角をあげて微笑んだ。 一回乗っただけで矢島はノックダウン。 嘔吐はしなかったがベンチで横になって落ち着きを取り戻すよう心がけた。(酔い止めが利いたかな) 「ほらアクエリアス」恵が自販機で買って矢島に渡した。 受けとりながら

「ありがとう」と礼を言って1口飲んだ。

「気分が落ち着いたら今日は帰るぞ」

「恵はまだ乗れば良いじゃん」

「今日はいいよ。また別の機会に来ような」 まだ乗れる時間はたっぷりあるのに1人で乗るのが嫌なのか?

「1人で待つのが嫌なの?」

「そうだよ。ここにお前を放ったらかしては行けないしな。だからまた別の機会に行こうな」ニヤケながら恵は呟く。

「恵の意地悪!」

「そうだよ、私は意地悪なサディストだよ」 矢島の背中を擦りながら乾いた笑い声と共に ささやいた。

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