猫目の河童と赤狐~その後~

みろく

第1話 豪雨

スコールかと思うくらい凄い雨だった。

今、外に行き橋を渡ろうとすれば川に引きずりこまれそうだ····。と思うくらい、ひどいどしゃ降りなのに…·恵は外出しようとしていた。 「恵! どこ行く気だよ!」矢島は怒鳴って行動を止めさせる。

「なんだよ私の好きな豪雨だよ? 外出しないなんてあり得ない」

「この変態、晴れたらジェットコースターに乗って憂さ晴らししろよ」 「自然のものと人口の刺激は違うからな」恵はブーブー言いながら雨合羽を脱ぐ。 昔からそうだった。雷、台風、豪雪····天災の度に外に行っていた。 「お前そんなに死にたいのかよ~バカ!」

「死んだら寿命だろ」鼻で笑いながら答えた。 「俺は嫌なんだお前が回避出来ることを大雨、雷なんてわざわざ見に行くのは! 嫌なんだよ~」恵の辛さ痛みを昔から知ってる矢島は嫌で嫌で堪らなかったが嫌いになれない、とにかく自分と長くいてほしいしから、わざわざ(台風、雷等)見に行ってほしくはかった。地団駄踏みながら恵の用意した長靴を投げた。

「お前は子供か」

「嫌なもんは嫌なんだよ」

「安心しろ。お前をおいて先には死なないよ、と言うことで晴れたらジエットコースター乗るぞ。お前も付き合え」 「え…俺も?」矢島はジエットコースター等の乗り物は具合が悪くなるので嫌いだった。(恵はしってるはず)

「意地悪!」

「そうだよ私は意地悪だ。ジエットコースターに乗って気持ちが悪くなれば好きなだけ吐いていいよ」 全てを流してくれるから豪雨が好きだった恵。 自分の痛みも苦しみも····雪は純白で綺麗すぎるけれど自分の醜さを輝かせてくれる····雷に打たれたら絶命だが幸せな気持ちで昇天するだろう····

「矢島、おいで」自分の隣をトントン叩き矢島を呼んで抱きしめる。 静かな建物の中でどしゃ降りの雨音が恵を安堵に誘う。


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