第7話 (おまけ) 拓生を好きになった理由

「で、どうやって恋に落ちた?」

「あれは、小学5年生の時……」


俺は、初めて会った亜美って人に気づけばいろんな話をしていた。

彼女、いや彼か?

聞き上手だから、つい次から次に話してしまう。

俺は、誰にも話せなかった事を気づけば亜美に話していた。


拓生と出会ったのは、小学5年生の時だった。

俺は、県外のデパートで迷子になった。


「お母さん、お父さん。わぁーーん。わぁーーん」

「お前!迷子か?」

「誰……?」

「俺、拓生。俺も、迷子だ!一緒に探しに行こうか!」

「うん」


みんなが初恋の話をしているなかで、俺はいまだに恋というものを知らなかった。

同級生の女子と手が触れても何も感じなかった。

亘君は、顔を真っ赤にしながら怒っていたというのに……。

俺は、どこか欠陥なのかも知れないと悩んでいた。


「ほら、手を繋がなきゃ!俺達も離れちまうだろ!行くぞ」

「うん、ありがとう」


触れた指先から、ジンジンとするのを感じる。

何だろう。

不思議な感覚だ。

胸も顔も指先も熱くて、熱くてたまらない。

これが、何か俺がハッキリ気づいたのは中学で拓生に再会した時だった。


彼とずっと、手を繋いでいたい。

ずっと、迷子のままでいい。

この時の俺は、そう思っていたんだ。


「すごい。いい話だな!それから、君はずっと彼を思っていたんだな」

「ああ」

「だから、今日。悲しかったんだな」


俺は、亜美の言葉に泣いていた。

それからも、しばらくお互いの話をした。

そして、俺達は……。


結婚したんだ。


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【カクヨムコン応募中】触れた指先から熱をもつ♡ーその告白が嬉しくてー 三愛紫月 @shizuki-r

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