第45話 あなたが望むのなら

「私はどうしたらいい?」

 アオイに倒されたまま起きる力もなくノエルが問いかける。そよ風が吹き、ユラユラと揺れるアオイの髪がノエルの頬に触れた

「この魔術を消さないようにお願いします。あと……」

 アオイが話していると、アオイの側に新たに一冊の本が現れた。二人がその本を見ていると、本が開きそよ風に吹かれページがパラパラとめくられた

「この魔術、詠めますか?」

 アオイがページに目線を向けノエルに問いかけると、しばらく本に書かれた魔術を見て確認し、目を閉じゆっくりと頷いた


「私にはまだ記憶がありません」

「私も一緒。まだ魔力が増えるほど記憶から失くなっているもの」

「では、記憶がダメなら魔力はどうですか?」

「それは、アオイが願うなら」

 二人見つめあい話し合い、同時にフフッと微笑む。ふわりとそよ風が吹いてアオイの髪が揺れ、見せた本がノエルの側に降りた

「ではまた後で」

 ノエルを押さえていた手を離し、屋根からゆっくりと降りていったアオイ。残ったノエルは、すぐには起きず青空を見た




「こんばんは」

 その頃、地上に着いたアオイがメアに挨拶をしていた。突然現れたアオイに周辺にいた人達は驚いているなか、メアはアオイの長く青い髪を見て嬉しそうに笑った

「今はこんにちはの時間になったみたいよ」

「あっ、そうですね。たぶん、そうです」

 アオイもメアの微笑みにつられるように笑って返事をする。連れてこられた部下達が二人の様子を木に隠れ不安そうに見ている

「素敵な青くて長い髪ね」

「ありがとうございます」

「一人でなんでここいるの?迷子?」

「いえ、今は迷子じゃないです」

 そうアオイが返事をしていると、明るかった空がまた空が暗くなり、木に隠れていた部下達が騒ぎだした

「また暗くなった……。やっぱり魔術だったんだ」

「じゃあ、あの子がノエルさんが言っていたアオイって子?」

 ヒソヒソと話す部下達の声がメアやアオイ達の所まで聞こえてくる。メアが隠れている木の方に目線を向けると、慌てて会話を止め木に隠れた。その間に、アオイの周りに数冊の本が現れ、足元にはメア達が見たことのない魔方陣が現れ微かに光を放ちアオイを足元から照らしていた

「せっかくなので私の魔術を見ていきますか?皆さんが見れるのならですけれど」

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