第33話 誰かの力を頼りに
「あれ?小さい方のアオイはどこに行ったの?」
ノエルが買い物から帰ってきてすぐ、リビングにあるテーブルの上に大量に買ってきたお菓子等が入った袋を置きながらアオイを探していると、ソファーで横になって本を読んでいたアオイがゆっくりと体を起こした
「お腹が空いたから、私が食べた」
クスクスと笑ってそう言うと、ノエルが買ってきたお菓子がふわふわと浮かんでアオイの元へと飛んでいく
「嘘だよ」
お菓子を取りながらソファーの側にあるテーブルに目を向けると、本を敷き布団代わりにしてスヤスヤと眠るアオイがいた
「あまり無理させたらダメだよ」
「大丈夫だよ、これくらい」
「そうだね。その子はアオイの魔力だからね」
ガサガサと買い物袋の音をたてながらノエルがそう返事をすると、お菓子を食べようとしていたアオイが嬉しそうに微笑んだ
「気づいてた?」
「小さくなった時も私は全然魔力を使っていない。小さな体が戻れないのも戻る魔術を教えてないし、元々あまり教えられない」
「まあ、そうだろうね。私も教えてないし、仮に教えてもまだ使えないだろうから、まだまだ戻れないかもね」
お菓子を食べながら返事をすると、すぐ隣で眠るアオイを見る。ノエルも視線をテーブルに向けると、まだ起きる様子もなく眠るアオイを見て、ふぅ。とため息をついた
「戻してあげないの?」
「まだ。私の魔力をもっと上げたいから」
「その前に消えちゃうんじゃない?」
「その時はその時で考えるよ」
と、二人で話していると寝ているアオイがゴロンと寝返りを打った。まだ起きる様子もなく本の端でスヤスヤと寝息をたてると、ノエルが眠るアオイのサイズに合わせて魔術で小さくしたお布団をふわりとかけたその時、ノエルの周りに突然メアに奪われていたはずの本が次々に現れ、あっという間にテーブルの上は本と買い物袋で一杯になった
「アオイが戻したの?」
と、ノエルがそう聞くと、持っていたお菓子を一気に食べるとソファーから立ち上がり、戻ってきた本が一冊、アオイの方へとふわふわと飛んでいった。その本をアオイが取るとページをめくり本の中を確認すると、ノエルの側に来て買い物袋からさっき食べたお菓子とは別のお菓子を取り出した
「そうだよ。やっと本も戻ってきたし、今日はもう休もうか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます