第32話 ここを守るために
寝室から出てリビングで追加で出したお菓子を囲み食べるノエル達。本を読みながらお菓子を次々と食べるアオイと、体より大きなお菓子を食べようと四苦八苦している小さい方のアオイを見比べてノエルが、はぁ。と深くため息をついた
「アオイ」
「はいっ!なんでしょうか!」
ノエルの言葉に食べようとしていたお菓子を落とし、大声で返事をした小さい方のアオイ。その声にノエルと本を読んでいた方が目線を向けた
「あなたじゃない。こっちの方」
「あっ。ごめんなさい……」
ノエルの言葉を聞いて少し顔を赤らめうつ向くと、食べようとしていたお菓子がふわりと浮かんであっという間に食べられてしまった
「私の分が……」
他のお菓子を食べようとテーブルを見るとたくさんあったはずのお菓子や飲み物が無くなっていた。またしょんぼりとうつ向くアオイを見てノエルが、またはぁ。とため息をついた
「私、買い物に行ってくる」
「あっ、それなら私も!」
椅子から立ち上がったノエルの後を追いかけるように、立ち上がろうとした時、突然体がふわりと浮かびテーブルから少し足が離れた
「ダメ。私とお留守番だよ」
リビングを歩くノエルを追いかけようとしてジタバタ動いてみても、体は動かず足元はフラフラとするだけで一歩も前に出ず、諦めたようにはぁ。とため息をついたアオイ。それを見て楽しそうにクスクスと笑った
「メアさんのこともあるから、すぐ戻る」
「了解。戻ってくるまでは守ってあげるから」
手をヒラヒラと揺らし返事をする。その姿にノエルが不審そうな顔をしつつもリビングを後にした。バタンと玄関の扉が閉まる音も聞こえると、テーブルから離れていた足がゆっくりと降りてテーブルに着くと、今度は背中がツンと押されるように触られた
「その本はどう?」
「これですか?私には難しくてあまり読めません。ですが……」
「無理矢理詰め込んだからね。難しいのは仕方ないよ」
テーブルに置いていた小さな本が独りでに離れ、アオイの方へと移動し、ノエルの魔術で小さかったはずの本が一瞬で元の大きさに戻った
「魔力も魔術をね。私以外の誰かに読んでもらおうとしても無理だよ」
そう言うとテーブルを指差した。小さい方のアオイがその指差した先を見ると、お皿に一枚お菓子が残っていた
「残り食べるよ」
その言葉に返事をするように、ゆっくりと頷くと、そのお菓子に手を伸ばし、一口で食べると、うーんと背伸びをして椅子から立ち上がり、元に戻した本を手に取った
「さて腹ごしらえも一通りすんだし、帰ってくる前に少しだけ遊ぼうか」
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