　メアが出てから数時間後、疲れたノエルが着替えもせず寝室のベッドに寝ていた。ゴロンと勢いよく寝返りをうつと、グイグイと服を引っ張られた

「そろそろ、起きてください」

　ノエルの耳元で声が聞こえた。無視をして眠り続けていると、今度は髪がグイグイと引っ張られた

「朝です。起きてください。お腹が空いたので、起きてほしいです」

　また声が聞こえて、ノエルが少し目を開けると、ノエルの魔術で小さくなったままのアオイが起こすために頬を叩こうとしてた

「朝じゃないでしょ。勝手に朝に変えないで」

「いえ、今は時間通りの朝です。早く起きて、私を戻してくれませんか？」

　ちょっと怒った声で返事をするアオイをどかそうとして、ノエルがゴロンとまた寝返りをうった

「見つかりにくくなるから、そのままでいいんじゃない？ついでに、食費も減りそうだし」

「昨晩、寝がえりの度に押し潰されそうになって、あまり眠れなかったんです。だから、戻してほしいです」

　頬を膨らませ言い返すと、ノエルがゆっくりと体を起こし、うーんと背伸びをした。その時、体に乗っていたアオイが布団に落とされて、顔をしかめながら、ゆっくりと体を起こした

「悪いけれど、戻るのは自分の力で戻って。今は魔力をあまり使いたくないから」

「それは、酷いです……」

　着替えをしながらノエルが言うと、アオイがしょんぼりとした顔で返事した。それを見たノエルが何も言わずに右手を差し出し、アオイがピョンと飛び乗り、二人一緒にキッチンへと向かった

「どう？」

　一方その頃、施設では持ってきた本を日を開けてもなお調べていた

「ダメです。魔術が高すぎです。解くにしてもこの施設には今、解ける魔術師は居ないかと……」

　声をかけられた魔術師が目を赤くし、疲れた表情でメアに返事をすると、机に置かれた本を一冊取り、パラパラとページをめくり、書かれている文字を見てフフッと笑った

「仕方ないわ。またあの家に行ってみましょう。解読してもらいましょ」

「……メアさん、何だか楽しそうですね」

　部屋中に張られた魔方陣を解いていた魔術師の一人がメアにそう聞くと、メアが持っていた本が、突然火を吹き燃えて消えてなくなった。それを見て、呆然とする魔術師達。一方のメアは勝手に燃えて落ちた本の欠片を取り、ふぅ。と一つ息をかけた

「ええ、とても楽しいわ。不思議なことを知るのはとても素敵なことだからね」

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