第272話 終焉(6)

 これから広島安佐北警察署へといくために俺は、犯罪者だから下を向き歩き始めたよ。佐奈が目を覚ましてくれないから、安佐北警察署へといっても俺は、お巡りさん達に対して、もうこれ以上は何の言い訳もできなから。


(俺は只の犯罪者、前科持ちになるのか)、


(まあ、それはそれで致し方がないか)、


(俺自身も一か八かの賭けだった訳だから)、


(俺自身は只、自身の人生の賭けにまた負けた。只の敗北者だな……)と思いながら歩き始めたよ。


『トコトコ』と何故か妙に、俺の足音が耳につくなと。俺は違和感を感じながら歩く。


「あなた……待って」、


「あなた、ごめんなさい……」、


「家のひとを離してください。お願いします……」



 俺が自身の耳に違和感を感じながら、『何か耳鳴りもするな?』と思いながら歩き。佐奈の病室のから出るために、部屋の外へと自身の足を踏み出した瞬間に、俺の耳へと違和感のある声……と言うか? 聞き覚えのある声が聞こえてきた。


 だから俺は(空耳かな?)と思いつつ。


「……ん?」と声を漏らしながら後ろを振り向いた。


 それも俺だけではなく、お巡りさんやお医者さん、看護師さんに警備員さんも。俺の聞き覚えのある女性の声で一斉に振り向き──。


「えぇ~!」


「嘘~?」


「本当に?」と。


 佐奈の部屋にいる人達や退出をする人達が、俺も含めて一斉に仲良く驚愕、驚嘆を放ち、漏らす。

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