第262話 憤怒!【怒り!】(4)

 俺はとにく素知らぬ振りを続けたよ。アイツ、冴子佐奈の奴に悟られないようにね。


 まあ、そんな状態……。お互いが相手に悟られぬように騙し合いを続ける中で、やっとアイツ! 佐奈冴子の奴が、俺の行動に安堵して、家に一度帰ると告げてきた。


 だから俺はこの機会を逃す訳にはいかない。


 これを失敗すれば! アイツ! 佐奈に俺は本当に祟られるかも知れないけれど。


 俺達二人の関係は人と幽霊、悪霊、生霊と言う関係は本当に不味いと思う。


 だってこのまま冴子佐奈自身がもうこれ以上心の傷を負いたくない。今の他人の顔を借りたままの生活で良い。このままでも自分は幸せだからと。本当にあいつらが納得すれば、佐奈は本当に息をしなくなり、他界……。


 そしてコイツ! 佐奈は! 今後本当に悪霊化をして、俺にストーカーの如くついてまわるようになるはずだから。俺はそれを必ず阻止して、コイツ! 佐奈の奴を絶対に目覚めさせるのだ! それも今日! 今から! 必ず! と。


 俺は強い意志と決意をしてこの病室へと来ている訳だから。


 俺は冴子佐奈が寝ているベッドへと上がり──。病院の寝間着を着衣したアイツ! 冴子佐奈の首の襟を掴む──。


 それも俺は冴子佐奈に対して馬乗りだから。傍から他人が俺のことを凝視すれば気が触れた男だと思う行動へとでるのだ。


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