第261話 憤怒!【怒り!】(3)

 アイツ、佐奈冴子に悟られれば、佐奈の魂が冴子に化け、雪女や鶴の恩返し、辰の子太郎のような昔の怪談話のように、俺の許へと尋ねなくなると。俺自身も大変に困る。


 だって俺は佐奈と冴子が同一人物だと悟った日から、自分自身と対談した。


 アイツ、佐奈抜きで、この先の人生を一人孤独に生きていけるのか? と。


 そう新作、お前も、雪女や辰の子太郎の主人公の男みたいに、生霊化、お化けと化したアイツ! 佐奈の奴が産んだ赤ん坊を。佐奈抜きで育てながら、親子で寂しく暮らす生活を余儀なくされてもいいのか? と問答した。


 そして俺のだした答えは、やはり佐奈、冴子抜きでは生きてはいけないと俺は悟るから。


 その後の俺は壁に貼られたイラストの動向も探るようになれば。イラストのアイツは、佐奈冴子が俺に仕事に行くと嘘偽りを告げ、マンションの部屋を出ていってから、直ぐに入れ替わることに気がついた。


 だって佐奈冴子が出ていくと、佐奈が描いたイラストの瞳が、俺にばれないようにしつつ動く。そして俺の浮気を冴子佐奈は監視しているのかな? 


 とにかく俺が仕事に出かけるまでは、キョロキョロと瞳が動いているようだから。



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