第260話 憤怒!【怒り!】(2)

 まあ、俺自身も、冴子佐奈の痩せ細った指から偶然に、婚約指輪が抜け、外れ、リング内の刻んだ文字、【SANA】のローマ字名前に気がつかなければ。佐奈と冴子が同一人物だと気がつかなかったと思うけれど。


 前回! この間! 佐奈のお母さんに誘われ、この病室へと来た俺は、自身の両目、瞳で見てはいけない物……。


 そう、大変に不思議な物……。出来事を俺は、この両目で見て驚愕! 佐奈のお母さんがいようともなりふり構わず絶叫! 奇声を上げ、叫びつつ俺はこの病室から逃げるように立ち去る。


 そして自宅のマンションへと顔色を変え、涙を流し、震えつつ帰宅……。


 そしてリビングで体操座り。一人で震えつつ、罪悪感に浸りながら嗚咽を漏らしていれば。他人の目! 人の気配! そう、俺は誰かに見詰められている気がするから。俺は自然と、自分のことをジィ! と見詰める視線を追ってしまうと。


 そこには佐奈の奴が描いたイラスト……。冴子の顔があるから俺は絶叫! 冴子と間違え謝罪……。佐奈の病院へと、冴子に内緒でいったことへの詫びを告げる、精神的不安定な行動へとでた。


 でも直ぐに冴子が描いたイラストだと気がつき、ホッ! として、自身の胸を撫でおろすのだが。


 その時に俺は佐奈と冴子が同一人物なのでは? と思い始め。冴子佐奈に悟られぬように、アイツと絵に注目……。二つの様子を窺い、俺は恐ろしい光景を目の当りにするのだ。


 そう、佐奈が描いたイラストの女性の目……。冴子の目が動いたことに気がつき、俺は絶叫を上げそうになるのだが。その時に俺はグッ! と堪え、平素を装い素知らぬ振りをしたのだ。


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