第258話 首を傾げる人達(2)
「僕がお見舞いに通えば、佐奈の奴は必ず目を開けるはずだからと。僕はお母さんに嘆願されて今日は仕事の方が早く終わり、広島へと帰宅ができたので、こちらの病院へと直接お見舞いへときました」とも更に説明をすれば。
「ああ、そうなのですか」と。
「それは御苦労様です」と、二人の看護師の女性は、俺の言葉を信じて労いの言葉までくれたのだ。
俺が今から寝ている佐奈……。目を覚まさない佐奈に対して何をしようとしているのかを二人は全く深く考えもしないで。俺の言葉を鵜呑みし、安堵すれば。
「どうぞ、どうぞ、冴島佐奈さんの所に行ってあげてください」と。
「本当に心配ですよね。婚約者になる女性ならば猶更……。事件も、事件ですから」と。
俺のことを労い、佐奈の身体を心配……。
そして俺と佐奈の関係……。佐奈の身に何が起きて、アイツが自身で、自害をして果てようとしたかも、看護師さん達は知っているように俺には見えたから。御二人は、俺に対して気を遣いつつ、言葉を選びながら。その後も俺へと色々と言葉を告げ。
「冴島さん、目を覚ますと良いですね」と、自身の目を、瞳を潤ませつつ、俺に告げてくれたよ。
だから俺は「本当ですね」と微笑みつつ告げ。
「ありがとうございます」と、看護師さん達へと頭を下げ告げ、にへらと笑えば。
◇◇◇
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