第145話 新しい生活が始まる(3)

 実は俺、余りこの中筋駅の近くに車を停車するのは好ましくはないのだ。


 だって俺が以前付き合っていた佐奈の実家は、ここからわりと近い場所だから。


 佐奈アイツや御両親とばったりと会うのは、俺も気が引けるけれど。


 まあ、時間の方も陽が暮れて、中筋駅や周辺はネオンライトで明るいけれど。


 俺が車を停車しているコインパーキングエリアは少し駅から距離がる。


 だから俺のキッチンカー、スクラムの周りは、真っ暗闇の中──。


 その車内で俺が座って下を向き、良い子にしながらスマートフォンで、アプリケーションのゲームをプレイしていても。


 元婚約者や、その御両親が俺の真横を歩いても気がつかないと思うから。


 まあ、いいか? と、俺は思いつつ。


 自身の指先を使用しながら、ピコピコとアプリケーションゲームをプレイしながら冴子がくるのを、自身の首を長くしながら待っているけれど。


 実はね、俺?


 本当のところは?


 まあ、俺自身の口から冴子にも、ちゃんと告げ、報告をしているのだが。


 本当のところ、冴子が週末に、俺のお仕事の手伝い。


 みなさんも知ってのとおりで、キッチンカーによるソフトワッフルの実演販売なのだけれど。


 実は俺の心の病?


 そう、重度の女性恐怖症と女性アレルギーなのだが。

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