第144話 新しい生活が始まる(2)

 でも、俺の冴子は、この通りでね。


「いいや、良いよ。新作。あんたに家まで迎えに来てもらうのは悪いから」と言葉を返し。


「うちの家さ、目の前の道が狭くてね。家の前に車が停車すると。行き交う車の迷惑になり。近所迷惑になるから良いよ。特にうちの帰宅時間の方が夕刻だから。近所の人達も帰る時間だしね。トラブルになってもいけないから」と。


 冴子が、にへらと笑いつつ俺に告げてきた。


 だから俺も「うん、わかったよ」と頷き、納得するから。


 俺の冴子が中筋駅から降りてくる?


 それともタクシー?


 ここは高速バスしかないから、バスであいつがくると言うことはないから。


 親に連れてきてもらう?


 と、言うか?


 俺よく考えると、冴子の家が何処なのかを尋ねるのをすっかり忘れてしまっている。


 以前あいつが一人暮らしをしていたのは、西区だと聞いてはいたけれど。


 あいつが今、両親と一緒に住んでいるのは、何処なのかを尋ねることを俺は、うっかりと忘れているなと、思うのと。


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