第138話 俺の住むマンションには(4)

 だから冴子は、自身の腕を組み、少し考える人になり、思案を始めだすけれど。


 俺の部屋に出るお化けは、みなも知っての通りで、異性の生気を吸い、食らうタイプのお化けさまではないから。


 俺は冴子の考える人になっている様子を見ながら、ケラケラと嘲笑い始める。


 すると冴子は、俺の悪態振りを見て、少し不貞腐れた顔を始め、考える人も辞めてしまい。


「いるよ。そんなお化けだって必ず」と。


 真剣な顔で俺に告げるから。


「そうか?」と、俺が言葉を返すから。


「そうだよ」


「うん」と俺が、冴子に逆らうこともなく頷くと。


「…………」


 冴子はこのように、俺に言葉を返さず、急に俯き、黙り込むから。


「どうしたんだ、冴子?」


 俺はお化けの話しの最中に、冴子が急変をしたから気になり、こいつの顔を下から覗き込むように声をかける。


 俺は更に「冴子! 冴子!」と、言葉をかけつつだ。


「…………」


 う~ん、それでも、冴子はやはりこの通りで、下を向いたまま沈黙……不貞腐れた顔? をしているのだろうから。


 俺は下から冴子のことを覗き込む行為は辞め。


 自身の身体を起こして、今度は自分の両腕、両手を使用しつつ。


「おい! 冴子! 本当にどうしたんだ?」、


「頼むから、何か言ってくれ! おねがいだ!」と。


 俺は、自身の顔色を変えつつ、冴子の華奢な身体を揺らしつつ嘆願を始める。






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