第129話 新しい彼女の提案(2)

 冴子の俺への婚約者気取りの言い方に対して不満や否定をする訳でも無く。


 俺自身、どちらかと言えば心地よいから。


「うん」と頷く。


 ソワソワ、モジモジ……。


 俺の目の前で可愛く、落ち着きのない様子を魅せていた冴子も。


 俺の頷きを見れば、こいつは満身の笑みを浮かべ……。


 そう、俺の傷ついている心を癒してくれる女神さまの笑みを冴子は浮かべながら。


「今週の土日からうち、新作のこの仕事……。そう、キッチンカーでのソフトワッフルの販売の方を、うちは土日祝日のみ手伝うよ。新作、良いでしょう?」


 冴子は俺へと甘え声音で尋ねてきた。


 それも本当に御機嫌良く、嬉しそうに告げてきた。


 だから俺は、そんな冴子の顔を見て、ポッだ!


 そう、俺はいい歳をして、自身の出来たばかりの彼女、じゃ、ないか?


 俺の新しいパートナー、結婚相手に魅入り、見惚れ。


「…………」


 と、沈黙をしてしまう、失態をするから。


「どうしたの、新作?」


 冴子は俺の挙動不審な行動に対して、直ぐに首を傾げ、不思議そうな顔をするから。


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