第123話 俺の場合は(27)

 俺はまた懲りもしないで、自身の目頭が熱くなり、瞳を濡らし始めながら。


「それでね、俺さ、アイツが余りにもしつこいぐらい泣きながら止めるから。やはり元カノ、婚約者な訳だから。アイツのことが可愛そうに思えたと言うか? 部長の顔だけじゃない。アイツの顔も、俺は腫れるぐらいは殴っているからね。アイツの顔を腫らし、鼻血を垂らしている顔を見れば。流石にさ、アイツへの罪悪感が募り。俺も悪いと思うから。『もうえぇわぁ! ゆるしちゃぁるわぁ! これくらいで?』とでも言ったのかな、俺は?』と涙を流しつつ告げる。


「そうなんだね?」


「うん」、


「だからね、俺?」


「うん」


「その後さ、鼻血で染まったベッドの上で立ち上がり。ベッドから降りると。『佐奈、お前とは別れるから。婚約も解消。結婚も中止だ。それで文句はねぇなぁ? お前もそれでいいだろう? こいつと一緒になりたいんじゃろぅから』と。俺はアイツに婚約解消、結婚中止、もう別れようと告げて部屋から立ち去ろうとした。俺がアイツらの愛の巣をこれ以上。アイツの好きな男、愛している部長の血と。アイツの血で汚す訳にはいかない……」、


「これ以上、アイツの部屋にいたら、頭に血が上って鬼と化している俺は、台所の包丁を持ち出して、二人を刺し殺してでもしたらいけないと思ってさ。元婚約者だったアイツに永遠の別れをつげたのだよ」、


「するとさ、アイツ……。『えっ!』とか言いだしていてさ。『これだけ私のことを殴ったからもう、許してくれるんじゃなかったの?』と。『新作今私のことを許してくれるって言ったじゃない。それって嘘なの?』とか、言ってきたんだよね」と。


 俺は冴子に告げるのだが。


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