第48話 常連のお客様との何気ない日常(3)

 だから俺の中で彼女が特別な存在──女神様……。


 そう、シネマやアニメ、漫画、恋愛、ラブコメ仕様のライトノベルのヒロイン様と変わらないぐらい、女日照りの俺は、山下のお姉さまが好きで仕方がないのと。


 彼女のことを毎日思い浮かべては、モヤモヤ……。


 男の性と言う物が発動──抑え切れなくなり。


 彼女の肢体を貪り、舐め回し、食らいたくて仕方のない俺は、恋と言う名の重い病気に侵されて眠れないらしいのだが。


 でも俺の不眠症の原因は、みなさんも知っての通りで。


 まあ、女性が原因なのは、山下のお姉さまが言われる通りなのだが。


 原因は彼女ではなく、毎夜のように玄関の外、中問わず泣いている。


 松原いわく、この世の者ではない女性ひと……。


 まあ、世に言われる幽霊、お化け、物の怪の類みたいでね。


 昭和の時代の、真夏の夜を涼しくさせてくれていた怪談シネマのヒロインさま達のように。


 俺の睡眠の妨げをおこなっては。


 俺の生気を食らい。


 俺をあの世へと多分らしいのだが?


 誘っているらしい、女性のために……。


 でも何故か俺が彼女?


 お化けさまのことが怖くはない。


 恐れ慄かない。


 だから俺の友人の松原に指摘をされるまでは。


 俺自身もお化けの彼女のことを幽霊だと認識しないで【ストーカー女】と呼んでいた。

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