第43話 常連のお客様からの色々な問いかけ(6)
「お兄さん?」
「……ん? 何、お姉さん?」
「お兄さんは、重度の女性恐怖症、女性アレルギーじゃない?」
今まで普通に世間話をしていた俺とお姉さんなのだが。
彼女が俺との会話の最中に、何かを急に思い出したような顔をするのだよ、いつもね。
でッ、その後は、このように彼女は話しを折り、俺の女性恐怖症と女性アレルギーの件を、いつも尋ねてくるから。
「うん、そうだね」と。
俺はいつも、彼女の問いかけに対して、怪訝な表情をする訳ではなく、素直に頷くのだ。
俺自身、何故だかわからない、謎の部分、なのだけれど。
何故か俺はいつも、自分自身が一番尋ねられたくないことをお姉さんに尋ねられても、怪訝な表情をしないで頷くから。
彼女は、また同じことを尋ねてくる。
「お兄さんは異性に対して、性欲とか沸かないの?」
まあ、こう言うこと!
お婆ちゃんやおばちゃんでもない女性が、異性である俺に対して下ネタ、性的なことを尋ねるのは。
俺自身もどうか? と、思うのだが。
まあ、彼女は大変に気さくな
俺自身も思うことがあるから。
もしかして俺のことを異性と思わない、弟ぐらいと考えているのと?
彼女の華奢な左の掌……。
そう薬指についているリングを見ればわかる通りで。
彼女自身が、もう既に乙女ではない年齢と状態……。
まあ、婚約者がいる経験者だから気にならないのだろう。
だからお姉さんはいつも俺に対して興味津々……。
それもニヤニヤと女性魔王の如く、薄ら笑いを浮かべつつ、俺に尋ねてくるから。
俺自身も、いつもだ。
(もう、このひとだけは、致し方がないひとだな)と、俺は思いつつも。
「俺、ちゃんと異性に対して性欲とかはあるよ。グラビヤ雑誌や18禁仕様の雑誌を見て、『わぁ、すげぇ!』、『やりてぇ、なぁ!』と、普通に思い。腹部の下にある俺の大事な物だって、普通に大きくなり、立ち、そびえるもの、お姉さん……」と。
俺自身もお姉さんに、セクハラもどきのことを尋ねられれば、流石に恥ずかしいけれど。
俺自身も童貞ではなく、経験者だし、つい最近までは結婚をしようと思っていた彼女もいたぐらいだから。
お姉さんに対して、俺自身も気にした素振りも見せず、友人や先輩、会社の上司にでも尋ねられたように。
俺が彼女へと、ケラケラ笑いながら言葉を返せば。
「じゃ、お兄さん、性欲が溜まったら、どうしているの?」
まあ、いつもこれなのだよ。
お姉さまが俺に対して、大変に嬉しそうにと、大変に興味津々に尋ねてくるのだ。
それも?
お姉様は数日単位で、俺に必ずと言ってよいほど、セクハラ行為してくるのだ。
ニヤニヤと薄ら笑いを魔王さまのように浮かべながら尋ねてくるから。
俺もお姉さまが、家のお店へと、お仕事の移動時間の合間の暇つぶしに寄ってくれれば。
女性恐怖症、女性アレルギーの俺としては、本当に助かる! ありがたい!
だからお姉さまに対して俺は、不快感を募らせ、怪訝な表情をする訳にもいかないから。
「まあ、ちゃんと処理はしているよ」と。
俺は笑い誤魔化しながら、いつもお姉さまへと告げている。
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