第40話 常連のお客様からの色々な問いかけ(3)

 そう、先ずは、通りすがりのお客様へと。


「いらっしゃいませ!」と声をかける。


 まあ、これは誰でも言うことは可能な言葉──。


「ソフトワッフルはどうですか~?」、


「柔らかくて美味しいですよ~!」


「さぁ~、いらっしゃいませ!」


 まあ、これも誰でも大きな声を出して叫ぶことは可能だよね。


 販売が下手くそな、俺でも言うことは可能だから。


 それでも、た、多分ね? と言っておく。


 だって俺のように、スマートフォンで手悪さしながら、お客さまの流れを見ないで販売している人は多々……と、言うか?


 ばかりを見るからね。


 お客さまに声をかけ、呼び込みができない人達ばかりかも知れない? と言っている俺自身も。


 若い女性がお店へと向かってくれば、車内に慌てて隠れる俺だから、と。


 俺自身もお客さまと、できるだけ目を合わせないようにするために、スマートフォンばかりを弄り、手悪さをしている者だから。


 俺自身が言っても説得力は、余りないけれど。


 遠目や傍から客さまが見ても、余り好印象でないから辞める方がよい。よと。


 説得力が余り無い俺が告げたところで、話が少しずれたから。


 話しを元に戻すけれど。


 このお姉さんは、みなさんも知っての通りで、大変に気さくな人だから。


「お客さん! お客さん!」や。


「そこのお姉さん! お姉さん!」と。


 彼女は通りすがりのお客さま達へと声をかけるだけではなく。


 俺の常連の御姉さんもちくわのおじさんのように手招きするのだ。


「ちょ! ちょっと! ちょっと!」とね。


 彼女は手招き、猫招きしながらお客さまを家のお店……。


 ソフトワッフルの実演販売を、キッチンカーにておこなっている。


 家のお店へと、のように呼び込むことも可能な女性なのだ。


 だからお客さま達は、御姉さんの猫招きに誘われ。


「お姉さん、何?」


「姉ちゃん、何や?」


「ワッフル、売っているんだ?」


「姉ちゃん美味いのか、これ?」と。


 お嬢さまや御姉さま、お兄さんやおじさん達に尋ねられて。


「そうそう、ソフトワッフルを売っているの。御姉さん達買ぅてぇやぁ?」、


「お兄さん、買ぅて?」や。


「お兄さん、マジで、家のワッフルは、口が蕩けそうなぐらい美味しいけぇ、買ぅてやぁ、お願いじゃけぇ」、


「御姉さん達もお願いだから。頼むから買って、お願い」と。


 自身の両手を合わせながら、家のソフトワッフルを購入してくださいと、嘆願ができるタイプの女性だから。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る