第19話 すすり泣く、女性の姿は(4)
「女は階段だ! 足音が聞こえる!」と。
俺の後を追うように飛び出た三人が。
俺のことを追い越して、慌てて階段へと向かうから。
俺も慌てて二階の階段を降りて、三人の後を追うのだが。
マンションの入り口──。
その外まで出ると、三人が歩道で佇み、道路を隔てた正面と左右をキョロキョロと首を動かす姿が見えたから。
「女に逃げられたんだ?」と。
俺が苦笑いを浮かべつつ尋ねる。
「うん」
「ああ、逃げられた」
直樹と秀樹が頷くと。
「あの、女、マジで足が速いな」
松原も俺と一緒で苦笑いを浮かべつつ呟いた。
「わるい……。あそこで俺が大きな声を出したから。外の女に悟られてしまって、本当にすまない」と。
俺は自身の頭を下げ、肩を落としながら三人へと謝罪をする。
「良いって事よ……。それよりも、女も逃げたようだから部屋に戻るか?」
気落ち、落胆をしている俺に松原が、ケラケラと笑いつつ、気にするなと優しい声をかけてくれたよ。
そして、俺の部屋に戻ろうと。
あいつ、松原は俺に告げると、踵を返してマンションの二階へと向かって歩き始めだす。
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