第15話 絵(3)


 まあ、告げたのだが。


 秀樹の頭の後ろをよく見ると。


 アイツが俺に。


『新作、どう、この絵?』、


『私が今暇だから、ささっと描いたものだけれど』、


『私絵心があるから、本当に上手でしょう?』と。


 俺に御日さまのように、優しく微笑んでくれながら、胸を張り見せてくれた。


 アニメ風の女性の人物画が、秀樹の顔を通り越して、俺の瞳に映るから。


 俺はアイツが描いてくれた絵を見ながら。


(アイツが俺のことを喜ばせようと描いてくれた絵だけど。何か、誰かに似ているな? 一体、誰だっけ?)


 俺は自身の脳裏で呟きつつ、呻ると。


「新作、どうした?」


 俺の視線の先にいる秀樹が、不思議そうに首を傾げるから。


「えっ! いや、何でもない。ごめん、秀樹……。俺ぼぅとしていたよ。本当にごめんな」と。


 俺は慌てて、秀樹へと謝罪をした。


 そして俺が、「あっ、ははは」と笑い誤魔化し始めると。


 しくしく……。


 するとこの通りだ。


 俺が秀樹へと謝罪を終えたと同時にお約束……。


 俺の部屋の玄関から、いつもの女性の声で、啜り泣きが、耳へと聞こえてきたから。


「あっ!」と。


 俺が驚嘆を漏らせば。


「ど、どうした新作?」


「も、もしかして、出たのか?」と


 直樹と秀樹の二人が、俺に動揺をしつつ尋ねてきたから。


「うん」と。


 俺は頷いた。



 ◇◇◇



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