第8話 両親が駄目だから友人に(1)

「おい、おい。本当に出るのか、ストーカー女が?」


「山下冗談だろう?」


「いいや、本当だよ。直樹、秀樹」


「マジか?」


「嘘だろう?」


 直樹と秀樹が苦笑を浮かべながら俺へと尋ねてくれば。


「新作、お前が見た奴ってお化けじゃないよな?」と。


 俺のもう一人の友人……。


 そう、大学生時代の友人の一人、松原が珍しく、自身の顔色を変えつつ、俺に尋ねてくるから。


「いいや、松原。それは無いと思う?」と、俺は松原に言葉を返し。


「俺自身も、ストーカー被害は、毎日では無いにしても。もう既に十数回以上遭っているのに。一度も金縛りに遭ってはいなし。この間、家の両親が泊まりにきた時も、親父もお袋も金縛りには逢わなかったから違うと思う?」


 俺は妙に落ち着かない素振りを見せる松原へと再度説明をした。


「そ、そうか? まあ、新作がそう言うのならば。まあ、それで良いけれど」と。


 今日俺の部屋へと泊まりにきてもらった三人……。


 そう、先週の土曜日は、家の親父とお袋に、俺の借りているマンションへと泊まりに来てもらい。


 俺の睡眠不足の原因になっているストーカー行為による、女性の嫌がらせなのだが。


 俺の部屋への不法侵入などの件もあるから。


 俺も最初は警察に相談も思案に入れた。


 でも、俺自身、余り大騒ぎになるのはよろしくない。


 だから親父とお袋に嘆願したのだが。

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