第3話 女性の啜り泣き(2)

 だって俺が、わざわざ人の玄関内、外で啜り泣きや、嗚咽を漏らす女性を捕らえ、警察に突き出してやろうと思って。


 俺が駆け足で向かうと。


 俺の部屋の外の廊下をバタバタと荒々しい足音を立て、嫌がらせだけをしながら。


 ピンポン、ダッシュでもするかのように、足早に逃げ、退散をするのだ。


 女性がね。


 だから俺は自身の唇へと指を当てつつ。


「シィ!」、


「行ってくるから」と、俺は両親へと小声で告げると。


 俺は座っている自身の身体を起こしてね。


 抜き足、差し足、忍び足とで。


 泣く女の許へと向かい始めると。


「新作、儂も着いて行くよ」と。


 家の親父殿が俺へと告げてくるから。


 俺は後ろを振り返り、コクリと頷けば。


 また玄関の方へと視線を変え。


 自身の足音を立てないように、玄関へと向かうと。


 今回は玄関の中……。


 そう、勝手に他所の家の中に、貞子のような長い髪の、スタイルの女性が座り込んでいる姿はないようだから。


『こらぁ! お前! 人家に勝手に入って! 座り込み、泣くなんて! 貴様は何者だ? 警察に電話して突きだしてやるからな! そこを動くな!』と


 俺が声を大にして怒声を吐かなくてすむから。


 俺は良かったと思う。


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