第2話 女性の啜り泣き(1)

「親父、お袋……。そら、今、聞こえる。聞こえるだろう女の啜り泣きが? だから二人もちゃんと集中して聞いてみろよ。そうすれば俺のように、二人にも聞こえるから」と。


 俺は、自身の顔を引き攣らせながらも、笑い誤魔化しながら、家の両親へと告げ、尋ねる。


 でも俺の両親はいつも夫婦仲良く、首を振るだけだから。


 俺の空耳、気のせい、だと言うことになり。


「新作?」


「ん? 何だ、親父?」


「お前、少しばかり病院へと通ってみていると言うのは、どうだろうか?」


 俺の親父は、にへらと笑いながら、と。


 俺も言いたいところ、場面ではあるのだが。


 俺の親父が余りにも真剣な顔で提案をしてきた。


「新作、お父さんの言う通りだよ……。一度心療内科に行って、先生に診てもらい。相談をしてみるのはどうだろうか?」と。


 俺の親父さまに続いて、お袋さま迄もが。


 自身の顔色を変え、動揺を隠せない表情で、俺に一度心療内科へと足を運び。


 先生へと、相談をするようにと提案をしてくる。


 だから俺はカッ! と、頭にくるから。


「ちょっと待っていろ、二人共。今から俺が玄関へと抜き足差し足で向かい。玄関の扉を開けてみるから。二人はここで待っていろ」と。


 俺は少しばかり不満のある顔をしながら両親へと小声で告げる。


 だって余りにも、俺が大きな声を出せば、玄関の中? 外にいるのかわからない女性に、足早に逃げられてしまう可能性が大なのだ。

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