俺はどうやら絵の中のアイツからストーカー行為を受けているらしい?

かず斉入道

第1話 前置きは、摩訶不思議な、女性の泣き声……

「しくしく」


「しくしく、しくしく」と。


 雨の音だろうか?


 それとも風の音なのだろうか?


 俺が一人暮らしをしている2LDKのマンションの外から人が漏らす嗚咽……。


 それも女性の声音だと思われる嗚咽……。


 啜り泣きに良く似た音が玄関?


 それとも玄関の外なのか?


 毎晩のように気持ち悪く聞こえてくると、俺は思うのだが?


 俺以外の者には聞こえないらしい。


 だって俺の親父やお袋、元会社の同僚で仲の良かった者達が。


 俺に教えてくれたから間違えない。


 だって俺は、その時に一緒にいた者達へと。


「ほ、ほら? 今、女性の啜り泣き、嗚咽が聞こえただろう?」


 大変に困った顔で尋ねる。


「親父?」


「お袋?」


 だって俺の耳へは間違えなく、女性の悲痛な声──。


 それも泣き声が聞こえてくるから。


 自身の顔色を変えつつ、親父が泊まりにきた時は。


 親父に尋ねた。


 そしてお袋が泊まりにきた時は、親父も俺が住んで居る賃貸マンションに、親子三人でいた。


 でも女性の啜り泣きや嗚咽が聞こえるのは、やはり俺の耳だけのようでね。


 俺の親父さまやお袋さまは、こんな反応を示す。



 ◇◇◇




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