3-4

ボクは牢屋に閉じ込められ、目の前にいる禿げた大男の正体に愕然としたのは数時間前。

この男こそがボクたちが探していた炎の四天王であるようで、思った以上に大物だった事もそうだが・・・

「ふふふっ、どうだ。ワシの力に恐れいったか!!」

「あー・・・うん」

「なんだ。その反応は!?」

それ以上に自慢話が閉じ込めてから、かれこれ数時間にも及んでいる事にため息が漏れる。あの後、急にボクを空間転移で連れてこられたと思ったら抵抗する間もなく閉じ込められてしまい、今はテオとフェルが助けに来てくれるのを待っている状態だ。

最初はただの人さらいだと思って勇者の仲間だと言ったら、四天王と返してきたけど、こんな自慢話おじさんが本当に四天王なのか、今でも・・・いや、数時間も自慢話を聞かされていたボクは疑ってしまう。

「ふふっ、強がっていられるのも今のうちだけだ。ワシのダンジョンに彼の勇者も恐れ戦くに違いない!!」

「・・・・それは良いんだけどさ、ボクが浚われたって、どうやって勇者に伝えるつもりなのさ・・・?」

ここに連れてこられたのも空間転移でいきなりだったわけだし、この男が本当に四天王だったとして、テオの顔や所在を知っているとも思えないわけで・・・・

「・・・・・・しまったああぁぁ!!」

「バカ、やっぱりバカなの!?ボクの数時間返してよ!!」

「うぬううぅぅ!!ちょ、ちょっと失敗しただけでは無いか!!」

こんな計画性のない誘拐事件の犯人に、ボクはそれから一時間以上延々と文句を言い合った。



俺は下半身だけ無防備な状態で、炎の四天王がいるというダンジョンであるピラミッドに来ている。

ボロボロになって帰ってきたフェルから渡された手紙には、エルムを人質として預かった事や替え玉が出来ないようによう常に勇者の証を晒してダンジョンを攻略しろという内容が書かれていたのだ。

「・・・・・テオ、エッチで可愛い」

「あ、あんまり見るなよっ・・・」

俺は頬を真っ赤にしながらダンジョンに入ったと同時に付いてきている空飛ぶ目玉の魔物にも視線を向ける。たぶん、これで向こうにも今の俺の状態が筒抜けになっているんだと思ったら恥ずかしさで憤死してしまいそうだ。

「くそ・・・人質を取って、こんな格好させるなんて絶対に許せねぇ・・・」

「・・・・うん。そうだね」

怒りを燃やす俺にフェルは目を輝かせながら熱い視線で俺の股間に目を向けており、頬が熱くなるが怒りのせいなのか、羞恥のせいなのか分からなかった。その後も繰り出されるダンジョンの罠の数々は容赦がなく、初めは股間を隠しながら歩いていた俺もその余裕がなくなり・・・

「うわああぁ!!く、くそぅ・・・」

事あるごとに隠すのを忘れ、なんとかダンジョンを攻略していった。ちなみに、その間中フェルは頬を赤くしているが、俺が心配なのか目を離さず、俺の方もさらに恥ずかしさを募らせていた。

でも、恥ずかしさで視線を向けると逸らされて、フェルを見るたびに胸が疼く感覚に捕らわれ、この戦いが終わったら宿屋で確認をしてみようと思った。



考えもなしに空間転移を行い、なんの置き土産もなく消えた炎の四天王にボクは盛大にため息を漏らす。

たぶん、勇者の仲間という事は伝わるのだろうが、こちらを誘い出すオツムがあれにあるとは思えないので、僕が色々と手を打たないといけない。本当にあんな恥さらしのボスのおかげで苦労させられる。

そう思っていたのだが、素敵な目の保養が出来たことに僕は恥ずかしがるテオに目を輝かせる。記録用の使い魔召喚までしてしまい、ここの攻略が終わった後はじっくりと恥ずかしがってるテオの映像を編集をしたりして過ごしたい。

予想はしていたが、やっぱりダンジョンの攻略はゲームで見た通りの初見殺しが多くて、何回も死にかけてしまうテオを時々手助けをしながら、その度にこんにちはしてしまって恥ずかしがるテオに感謝した

「はぁ・・はぁ・・・ここのボス、ぜってぇぶっ倒す!!」

そして、ついに到着したダンジョンの最奥の扉でテオは顔を真っ赤にしながら門を開くのだった。

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