閑話休題

「ボウゥ・・・」

「ん?」

砂漠の街ヒバナへの道中、野宿の準備をしていた俺たちは炎の球体のような魔物がやってきた。

敵意は感じず、魔物の中には希に無害な奴が存在するが、その類いのようだ。

「あれ、炎の精霊イフリーだよ」

「へぇ~」

「たぶん、たき火に釣られて現れたんだろうね」

エルムの説明を聞きながら、精霊を眺めているともう一匹の子供サイズの燃えてる人型も慌てたように現れる。

その人型は球体の精霊を抱きしめており、困ったような顔で俺たちを交互に見てくる。

「こっちは・・・」

「こっちも同じ炎の精霊イフリータっていう中級精霊で、あっちの球体は下級精霊」

「へぇ、そうなんだ」

球体を守るように抱きしめている姿は、なんていうか可愛らしくて、側によると燃えてるだけ会って温かさを感じられた。こっちが何もしてこないと判断するとイフリータの方はホッとしたような仕草をしてて、妙に人間くさい仕草に苦笑してしまう。

「なんか可愛いな」

「魔物に分類はされるけど、精霊って基本的に無害なのが多いからね」

「へぇ~。なんか食べたりするのか?」

「魔力だね」

「ゴォ?」

指先に魔力を込め、差し出してみると顔はないが、パッと雰囲気を明るくさせ、トコトコとこちらに近づいてくる。そして、俺の指先に口と思われる者を突き出すとチューチュー吸ってくる。熱いかと思ったが触れられても暑さは感じない。

「やべぇ・・・ペットにしてぇ」

「精霊は自由な種族だから飼えないと思うよ」

「分かってるって」

そもそも旅をしている俺たちがペットを飼えるとも思えない。でも、たまにはこういう触れ合いがあるというのもいいかもしれない。

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