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 あの形を、ぎゅっと、残すには。


 口を開けた。

 たべちゃいたい。

 口に入れて、転がしたい。

 ガラスの向こうへ口を開ける。

 雲の上に前歯を通す。上あごの天井、息を吸ったらぴんやりとするところを、雲のてっぺんに触れる。

 下あごの内側につっぽりと雲が収まった。

 冷たい水滴を感じながら、味わうように、そうっと雲を押しつぶす。水のやわらかな甘み。


 口の中を広げたまま、くちびる同士が触れるまで閉じる。

 のどの奥から温かさが押し出されて、ふおっと白い空気が唇の間から宙に漏れ出る。風の神



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 唇  くちびる

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