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こんなにも力強く、まんまるなものが、あるんだ。
電車の窓に、指のはらをぺとっとくっつける。
ほぼ同時に、トンネルに入った。目を輝かせた自分の顔が映っている。
もう一度首を持ち上げ、黒い景色の向こう側に、あのふうせん雲を描く。
あれは、
「積雲」といったら、底が大気でこすれたみたいに平らで、黒くて、その上に乗っかっている胴体がとにかく自尊心過剰なイメージ。
周囲を見渡せばあちこちに同族がいて、それぞれが競い合うように背伸びして発達して、最後にはみんなくっついて狂暴化しちゃう。
ぴっとして、がっとした。
そんな積雲は、向こうに確かにいっぱいいた。
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積雲 せきうん
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