第27話

「沢山、木の実なってる」

 と萌が上を見上げながら言った。

「おいしいよ、食べてみる?」

「うん!」

「来て」

 萌はカブトムシの背中から降りる。

「そおおれ!」

 地面から芽が生えた。大きな葉っぱが二人を乗せ、それから、うねうねと伸びだし、どんどんと、地面が遠のいていく。

「わあー」

 あっという間に実がなっている所まで、たどり着いていた。

「あは、すごい」

 萌は木の実をもいで一口食べた。顔と体を縮こませる。

「すっぱ! けど、おいしいね。みんなの分も取って大丈夫かな?」

「もちろん」

 ソウの服をカゴにして、二人は実をもいだ。

「じゃあ、降りよっか」

 萌は下を見る。かなり高い所にいるのだと氣がついた。目が眩むようだった。

「どうやって降りるの?」

「蔦が降ろしてくれるよ」

「蔦?」

 すると、蔦がスルスルスルと伸びて二人の胴体に巻き付いた。

「何、なに、なに?」

 萌が戸惑っていると、蔦が身体を持ち上げた。

「きゃ」と萌が小さな声を上げる。

 すると地面がゆっくりと近づいていくではないか。

 降りたあと、木にソウが手を触れると、木はたちまち枯れてしまった。

「枯れちゃった」

 萌が驚いて言葉をこぼした。

「うん、また何かに生まれ変わるんだ」

「へー」 

 それからも森の中で色々なモノ達に出会った。

 犬のような見た目をしているが、頭に鳥の翼を持ったモノが木々の間からこちらをじっと見ている。青い羽を持った鳥が群体ををなして空を横切った。一つの茎から、違う種類の花を咲かせている植物。薄紫の花片と花粉がオレンジのユリの花。椅子の形状になった木それに座る熊谷。アンモナイトの殻を持ったヤモリが木を登る。体の透けている鳥が横切り。猫の形をした樹木「ニャーオ」と挨拶を交わす。小さなドレスが咲いたような花が踊り。クリスタルの体を持ったナメクジがゆっくりと川に沿って前進している。恐竜の骨の面をかむった小さなモノ達と星の頭を持った小さなモノ達が葉っぱや枝に座っている。体が花でできたトンボとすれ違う。

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