第24話
ガラスの器の上にあったプリンは無くなり、代わりにスプーンがのっていた。
「とんがり帽子ねえ」
と信也は腕組みをする。
「知ってるのおじさん」
「うーん、悪い人じゃないはずだけど」
「僕もそう思う、サラも無事みたいだし」
「無事って分かるの?」
萌が尋ねる。
「双子だからね」
「凄いね双子」
ソウは椅子から降りて信也に向かい合った。
「お願いします、どうか力を貸してもらえないでしょうか」
信也が口を開く前に、萌が言った。
「困ってる人がいたら助けてあげるのが魔法使いでしょ? おじさん」
ヘレルが笑っている。
「そうだな」
と笑みを見せながら信也は応えていた。
「わあー」
萌はしゃがんで虫の精霊を眺めていた。
「すっげえ森だな」
熊谷は森を見上げている。この森には緑、赤、黄色と四季が詰まっていた。
萌の近くに虫の精霊達が寄り集まっている。
「君たち、そんなにこの子がいいのか」
とソウが虫達に話しかける。
光る石の体を持った虫の精霊。
「おもしろい?」
とソウが萌に尋ねた。
「うん! 素敵な森だね」
「ありがと」
ソウは大きな木に触れる。
リン
森はいつもと変わらなかった。
ヘレルが腕を横に振ると、道を塞いでいた倒木が吹っ飛んでいった。
バリバリバリ、ドン!
ソウは大きな音を聞いてヘレルの方を見る。そして急いで駆け寄った。
「だめだよ! なにしてんの!」
「ん? ならぬか? 邪魔だったが……」
「生きてるんだから、やるんなら丁寧に扱ってよ!」
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