第23話

「カレー?」

 しばらくすると、ソウの目の前に皿が置かれた。深い色のカレーの中央に星形のバターライス。

「これがカレー? なんか、土みたいな色してるけど」

「たしかにー」

 と萌が言った。

恐る恐る匂いを嗅いでみると、なんだか不思議な香りがした。おいしいのだろうか。

「食べられなかったら残して良いから」

 と信也が言葉を添えた。

「ねえ、おじさん」

「ん」

 信也は流しで洗い物をしている。

「なんであたしはおにぎりなの?」

 ヘレルがくくくと笑いを堪えている。

「萌、おにぎり好きだろ」

「そうじゃなくて」

 萌はむくれながら言葉を返した。

「先週食べたから良いだろ」

 熊谷も笑いを堪えるのに必死なようだった。

「えええ!!!」

 その様子を見てソウが萌に言葉をかけた。

「半分こする?」

「え、いいの?」

 萌は目を輝かせる。

 ソウは嬉しそうに笑顔を見せた。

「うん、もちろん」 

萌はカウンターの中に入って、小皿とスプーンを取ってきた。それにカレーを分けた。

「はい、おにぎり」

「うん、ありがと」

「どういたしまして」

 二人はおにぎりとカレーを仲良く食べ始めた。

「おいしかったあ、ごちそうさまでした」

 ソウは満足そうにお腹をさすっている。

「食べられたみたいで良かったよ」

 と言いながら信也がお皿を回収した。

「これ……サラにも食べさせてあげたいな……」

 ソウは独り言のように言った。

「サラって?」と萌が聞いた。

「双子の妹」

 デザートに生クリームがのったプリンが出てきた。

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