第22話

 沈黙。

「おじさんのことだ!」

 ソウは少女を見てから、男に目を戻して問いかけた。

「あなたが、その魔法使い?」

「んー、わかんないけど、そうかもしれなし、違うかもしれない」

ソウは金色の瞳で男をじっと見る。

「たぶん、あなただ」

信也は頭を掻いた。

「なんでそう思うの?」

 と萌がソウに聞く。

「見たら分かるよ」

「おじさんみたいなこと言うんだね」

「萌もそのうち分かるようになるよ」

 それから三人は、信也の喫茶店に向かった。

カラン、カラン

「ただいまあ」

 テーブルを拭いていた熊谷とカウンターでココアを飲んでいたヘレルが三人を見る。

「あ! さっきスーパーにいた!」

 と熊谷が大きな声を出した。

「さっきはありがと」

 と、ソウはぺこりとお辞儀をする。

「おう」

 熊谷が応えて、ソウが頭を上げるとヘレルと目が合う。

「手、洗ってね」と信也が言った。

「うん」

 ソウはカウンターに入って、流しで手を洗った。

「適当に座って」

 と、言う信也にソウはうんと応えてから、ヘレルの隣に座った。

「さっき会ったな」

「だね」

「はい、どうぞ」

 萌はオレンジジュースをソウと自分の前に置く。

「これは?」

「オレンジジュース。飲んだことないか、精霊だもんね」

 萌はストローを使ってオレンジジュースを飲んだ。

 ソウもそれを真似する。

「どう?」と萌が問いかける。

 ソウはにっこりと笑った。

「おいしいね」

「今、おじさんがカレー作ってくれるから待っててね」

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