第16話

「ソウ」

 精霊の少女は身じろぎをした。

「心配か?」

 男は寝転がりながら満天の星空を見ていた。

「昨日も、兄様と星を見ていました」

 少女は手を握って胸の上に置く。

「いつも一緒にいるものですから、突然いなくなると、こう、胸がギューってなります」

「そうじゃのう、一緒にいてくれていた者がいなくなるのは、寂しいものじゃな」

「あなたにも、そういう人がいるのですか?」

「もう、死んだよ」

 沈黙が流れた。

「そうですか」

 サラは、ためらいながら口を開いた。

「ずっと寂しいままなのですか」

「思い出すとそうじゃな、何かに夢中になって忘れようとしていたのかもしれん、何かしていれば考えることも少なくなる」

大きく光る星と星の間に小さく光る星が無数に見えた。ここの空は星が沢山見える。

「もしかしたら、今見ている星の一つになっているのかもしれん」

 星が流れた。

「おー、流れ星」

「空の上で見守ってくれていると?」

「ロマンがあるじゃろ?」

「おかしな人」

クスクスとサラは笑っていた。

「けど素敵ですね、それ」

「そんな風に考えていれば、寂しさなんて吹き飛ぶわい、いつも見守ってくれているわけじゃからな」

 男はかかかと笑った。

「運命の出会いじゃったなあれは、ワシが自然を好きになったきっかけをくれた人じゃった」

「その人も自然がお好きだったんですか?」

「そりゃあもう、今のワシ以上かもしれんな、そういう人間の傍にいたら影響もうけるわな」

「ほら、受け継がれているじゃありませんか」

 男はゆずり葉の話を思い出した。

「そうじゃな、まさかこんな風になるとは思っていなかった」

 また流星が見えた。

 

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