嘘の私
「友とは時間の泥棒である」(フランシス・ベーコン)
昔から特に仲良い友達がいるわけではなかった。みんなと少しずつ仲良い。そんな感じだった。だから、親友に強い憧れを抱いていた。
中学時代ではうまくいった方だった。とは言っても、親友と呼べるような存在はいなかったと思う。高校生になり、五人グループに所属することになった。ご存知のように五は奇数のため、二か四に分かれるときは一人余る。そして、学校行事のたびに女同士の嫌な雰囲気を味わうことになる。(この現象に名前を付けたい。) 四人とも一人余ることは嫌であるため、どうするどうするで十分、二十分……。最終的にクラス全員と薄く仲良い私が譲ることが多いのだが、私が抜けるよと言った瞬間から、ええ大丈夫?私が抜けようか?と謎の譲歩が始まる。(この現象にも名前をつけたい。) 勿論、友達と会話したり、遊んだりすることは楽しい。しかし、自分の本心を全て彼等に曝け出すことはできない。私の行動や言動で友達がいなくなってしまうのではないかと恐れているのだ。母からはあなたが本心で相手に接さないから相手も心を開いてくれないんだと言われた。その通りだ。その通りである。
周囲の目を気にする私にとって、友達は重要な存在だ。周りの人は、私には友達が沢山いて、楽しい学校生活を過ごしていると思っているだろう。実際は、嫌なことをできるだけ自然に避け、こっそりと一人の時間を作っている。ある日、グループの一人に文化祭で着けるウサギ耳を勝手に買われていた。(何故勝手に買うのか……。) 私はそのような可愛いふりをしたり、人前で写真を撮るのが大の苦手である。結局、私は体調が悪いと大嘘をついて文化祭中には教室でダイアンのよなよなを聞いていた。一人でいる時間はとても快適だった。自分の時間を無駄にすることはなかった。気を遣わなければならない相手もいなかった。
人と関わらずに一人で生きていくことは不可能である。そんな訳で、人と程よい関係を保ちながら、一人の時間を大事にしたいと思う。親友は諦めた!
父、先生、友へ うどん @asukajidainomoushigo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。父、先生、友への最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます