7、SNS始動

卒業してからはや五日、私のママこと常夏みかんさんがモデルが完成したと連絡があった。


「おぉ…すごい。前のも十分細かかったけど、さらに細かく仕上がってる」


これで大体のVtuberとしてデビューするための準備が整った。ネット上で明るく楽しそうに活動している裏にはこんなにも手間と労力、そしてお金が掛かっているのだと知って、

尊敬の念を抱かずにはいられない。


「よし!準備も整ったことだしSNSアカウントを作って宣伝をしよう」


何をするにも事前に宣伝をするというのはどこでも同じでVtuberもデビュー前にSNSにアカウントを作って宣伝をするらしい。デビューと同時に宣伝するのとでは集客率が全く違うのだとか。


モデルを手がけた絵師も依頼者が売れれば自分にも利があるということで宣伝を行ってくれるらしい。みかんさんはそんなこと関係なく善意でやってくれていそうだけど…

というわけで、記念すべき一発目のコメントをツブートというSNSに投稿する。と思ったが、まだ活動名を決めていなかった。


 どうしようか?実名で活動するのは論外。名前から簡単に個人を特定されてろくな結果にはならない。かと言って適当に決めた名前であればそこから特定される可能性は低いが愛着が湧かないし、なによりモチベーションの低下の要因になる。


「う〜ん…どうしようか。どうせならモデルに合った名前にしたいし。自分と似通った部分…あ、あった」


自分から連想させるものは色素の薄い白い雪肌、自分でも気に入っている氷華の氷、モデルから受ける印象は同じく雪と氷。みかんさんは実物から受ける印象を描くと言っていたからなぁ。たった一度顔を見合わせただけで私のイメージを完璧に捉えている。みかんさんは探偵の才能があるんじゃないだろうか。あとはこのイメージを文字に起こすだけだ。


「苗字は安直に白雪、名前はそのまま氷を表す意味である氷凝で、よし!私の名は白雪氷凝しらゆき ひこりだ。」


我ながら自分良く表した名前だと思う。名前が決まったならばあとは早い。あらかじめ作って置いたアカウントの名前を白雪氷凝に変更し、投稿するだけだ。みかんさんにアカウントを教えておかなきゃ。投稿する内容は簡単な自己紹介と近日デビューするという内容だけでいいだろう。ぽっと出の無名個人Vtuberが熱烈に宣伝したところで誰気も留めないだろうし。


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白雪氷凝@shirayuki_hikori

初めまして。おはようございます。この度Vtuberデビューする白雪氷凝と申します。近日デビュー配信を行う予定ですので気軽にお越しいただけると嬉しいです。


ママ→常夏みかん@tokonatu_mikan

白雪氷凝モデル→https/shirayuki-hikorimoderu.


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「ふぅ…デビューに向けての前準備はこれで完了。一日中気を張ってて疲れたな〜。キリがいいしお風呂に入って、朝ごはん食べよ」


そうして私は気づくことがなかった。鳴り止まぬことのない通知音とネット上で絶大な話題を呼んだことを。

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