第28話 やっぱりこうなる、のか…

 俺の知らぬ間に隣の部屋を購入したと言った綾音姉さん。

 その事に口をあんぐりと開けて驚き無言となる俺と未来。

 それを見た綾音姉さんはしたり顔で言う。


「その驚く顔を見たかったのよねぇ~♪」


 いや綾音姉さん、それをもっと早くに言ってくれよ…。


「その驚く顔を見たかったのよねぇ~♪…じゃねぇだろ」


「別に良いじゃない。

 これで私とはお隣さん同士になったんだから」


 そう言うがな綾音姉さん、単に俺と離れて暮らすことに耐えれなくなっただけの話だろ。


「と言うのは建前で、単に葵と離れて暮らすことに耐えれなくなったから隣に引っ越すことにしただけなんだけどね。

 運良く部屋が空いてたしね」


「そんなことだと思ったよ。

 つうかいい加減にそのブラコンは直せよな」


「だが断る!」


「いや、そうじゃなくてだな……はぁ」


 もうダメだな、この姉は…。

 ブラコンを直す気は一切ないらしい。


「もういいや、さっさと荷物を運ぶか…」


 言うだけ無駄だと判断した俺はダンボール箱を手に持ち、玄関を開けて隣の玄関扉の横に運び始めた。

 それを見てた未来も俺の後に続くようにダンボール箱を手に持ち運び始める。


「ちょ、ちょっと2人共待ってよ~!

 今鍵を開けるから、せめて玄関内に運んでよ~(泣)」


 俺と未来がダンボールを運び始めたことに焦った綾音姉さんはそう言いながら、慌てて靴を履いて廊下に飛び出してきた。

 そして懐からカードキーを取り出して施錠を解除し、玄関扉を開けた。


「可哀想だから運んでやるか」


 そう愚痴りながらもダンボール箱を次々と玄関内に運び入れていく。

 と言っても10個程度しかないけど。


「なんだかんだ言っても優しいわよね、葵って」


 ダンボール箱を手に持ちながら俺にそう言ってくる未来。

 それに俺は綾音姉さんに聞こえないくらいの声量で答える。


「ま、家族だしこのくらいはね」


 肩をすくめながらそう言う俺に、未来はクスクスと笑うのであった。





 綾音姉さんの私物が入ったダンボール箱を隣の部屋に運び入れた後、なんだかんだと玄関内で立ち話を1時間もの間していた。

 だけどいい時間となったので綾音姉さんに挨拶した後、、俺と未来は自宅へと戻った。

 そしてリビングのソファーに並んで座り、少し落ち着いたとこで未来が俺の左腕を抱きしめながら口を開く。


「無事に私の荷物も運び入れれたから、これで晴れて今日から葵との同棲生活が本格的に始まるのね」


 にこやかな顔で俺を見ながらそう口にした未来。

 だけどその顔にはどことなく色気が混じっているように俺には見えた。


「うん、そうだね。

 高校生、それも入学してから1週間とちょっとしか経ってない状況で同棲生活を始めるのは、俺と未来くらいだろうね」


「ふふっ、確かに私たちくらいかもね。

 でもいいんじゃない? 双方の親が合意しての同棲なのだから」


 それはそうなんだけどな、と俺は思った。

 普通であれば未成年者同士(18歳未満)の同棲は世間一般常識からすればアウトだろう。

 だけど俺と未来の場合は違う。

 双方の親の了承も得ているし、正式に婚約した仲だ。

 だから外野が何を言ったところで気にする必要などない。

 やましいことなどないのだから、堂々としていればいい話なのだ。


「それもそうだな。

 って俺、汗臭くないか?」


「ううん、全然汗臭くないわよ?

 というよりも葵が汗臭くても私は気にしないわ。

 だって私が愛している人の匂いだもの」


 若干汗をかいてしまっていたことを気にして聞いたのだが、そう未来に返されてしまう。


「そ、そうか。

 ただ気になったから聞いてみただけだったんだがなぁ。

 そう返答されるとは思わなかった」


「葵は気にし過ぎなのよ。

 だって昨日、お互いに汗をかく運動をいっぱいしてたじゃない。

 だから今更気にする必要はないんじゃない?」


 いや、それは貴女が俺をほぼ一方的に激しく求めてきたからだよね?

 しかもピルを飲んでるから大丈夫、と言って避妊を一切せずに全部中で出させてたよな?


「うん、ほぼ一方的だったけどね」


「あら、なんの事かしら」


 そこでとぼけんのかよ。


「そう言いながら未来さんは何処を触ってんでしょうね」


「さあ、何処でしょうね♪

 あ、おっきくなった♡」


 会話してる途中から人の股間を普通に触り始める未来。

 聞いてもニコニコと惚けつつも触るのを止めない未来。

 だから必然的に、自然と俺のナニは大きくなってくるのも当たり前の話である。

 そうなることを分かった上で未来は触っているのだ。


「そろそろやめて欲しいって思ってるんだよねぇ。

 時間的にも晩御飯の支度しなきゃだ……」


「……もう我慢出来ない♡

 いただきま~す! はむっ♡」


「……もう好きにしてくれ」


 人の話を聞かずにナニを咥え始めた未来に、俺はもう諦めて好きにさせることにした。

 ……出来るなら誰かこの性欲魔人婚約者を止めてくれ、と思う俺なのであった。

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