第29話 未来が語る男嫌いの真の理由と俺の誓い
綾音姉さんの私物を隣の家に運び入れた後、自宅に戻ってからどの位の時間が経っただろうか。
自宅に戻ってきた時の時刻は、確か16時過ぎだったはず。
そして現在の時刻は、リビングに掛けられてる時計が18時過ぎを示している。
と言うことは約2時間もの間、俺と未来は愛し合っていたことになる。
未来に求められるのは俺としても嬉しい。
だがしかし、彼女は性欲が強すぎるのだ。
そんな未来はというと──
「中に入り切らずに溢れ出ちゃってるわよ、葵。
でも、正直言ってまだまだシ足りないわ♡」
俺の太ももの上に膝立ちで座り、魅惑な声色で俺を見ながらそう言った。
「なあ、未来? そろそろ夕飯にしないか?
流石に腹が減ったんだが…」
腹が減ったからそう提案するも、それを聞いた未来の顔が見る見る間に絶望した表情に変化していく。
もう5回もシたってのに、まだするつもりなのかよ!?
「夕飯よりも葵とまだ繋がっていたいわ…。
それに、今はまだ抜きたくないの」
絶望した表情を維持しながらそう上目遣いで懇願してくる未来。
その彼女に俺は思い切って聞いてみることにした。
「なあ未来……どうしてそんなに性欲が強いんだ?」
「……………」
俺がそう聞くと、未来は「どうして今それを私に聞いてきたの?」って目をしながら無言で俺を見つめてくる。
それから少し間を置いて彼女は口を開く。
「……どうして私がこんなにも性欲が強いのか。
確かにそれは葵は知りたいわよね…。
だから言うわ、包み隠さずにね」
そう口にしてから一呼吸置いた後、再び話し出す。
「私がこんなにも性欲が強いのは、私のお母さんの血筋が影響しているわ。
これはお母さんから聞かされた話になるんだけど、女として生を受けたら必ずと言っていい程に惚れた男性を激しく求めてしまうらしいのよね。
しかも一度惚れた男性を一途に死ぬまで愛し続け、生殖機能が低下していくその時まで求め続ける、というオマケ付きらしいわ。
何故そうなるのかは未だに分かっていない、ってお母さんは言っていたわ。
そのせいもあって自分で性欲を抑えることは一切出来ないの。
唯一私が抑えられることが出来るとすれば、それは私に生理が来てる時のみね」
「……なるほど、な。
だから性欲は自分で抑えれないってわけか」
「うん」
道理で俺は未来に何度も求められるわけだ。
だから未来は──
「──男嫌いを公言してるわけか」
「確かにそうだけれど、それの他にもう1つだけ理由があるの」
「……続けてくれ」
血筋以外にも男嫌いを公言してる理由があると言った未来にそう言って続きを促す。
「中学3年に進級して間もない頃の話になるんだけどね……私、同じクラスの男子に無理やりレイプされそうになったことがあるのよ。
幸いにもその時、運良く付近をパトロールしていた警察官に私は助けられたの。
当然ながら私をレイプしようとしていたクラスの男子はその場で強姦未遂の現行犯で逮捕され、パトカーに乗せられて連行されて行ったわ。
それも相まって私は余計に男嫌いに拍車がかかったってわけなのよ」
身体を震わせながら悲痛な表情で過去を俺に語ってくれた未来。
それを聞いて俺は両腕で未来を抱き寄せ、頭を撫でる。
「辛いことを思い出させて悪かった…」
「ううん、何時かは言わなければならなかったことだから…。
だからね、葵。そんな悲しい顔をしないで?
確かにレイプされそうになった嫌な記憶は今でも頭に焼き付いているし、忘れられそうもない。
そんな私を昨日、葵はチャラ男から助けてくれた。
それがどれだけ私にとって嬉しかったか分かる?
あの時はもうダメだと諦めていた。
そんな時に葵が颯爽と現れ、助けてくれた。
だからそんな葵に私は、生まれて初めて恋をした。
この人と生涯を共にしたいと思った。
そして今もこうして私を抱きしめて頭を撫でてくれてる貴方が大好きだし愛してる。
だから私は今、とっても幸せよ。
この温もりも、抱かれてる今のこの瞬間も、ね!」
心の底から幸せよ、と最後にそう口にした未来。
そう語るその表情は眩しいくらいに素敵で、綺麗だと思える笑顔だと思った。
そんな彼女は暫く俺の顔を眺めた後、目を閉じながら俺に顔を近付けていき、自分の唇を俺の唇に重ねてくる。
そのキスは軽く触れるものだったが、それだけでも幸せを噛み締めるには十分なものだった。
だから俺は改めて心に誓った。
彼女を──未来を絶対に幸せにする、と。
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