最強の軍隊

Grisly

最強の軍隊

20✖︎✖︎年、力をつけた人類は、

M惑星へと、侵略を開始する。

広大な自然、豊かな大地、豊富な資源。


住んでいるM星人は、身長80センチくらい。

頭もさほど良くないと見える。

洞窟で石器時代のような暮らし。

侵略は簡単だと思われた。


まずは、良いものを贈って、

取り込む作戦が試された。

恩義を感じさせれば、従えやすい。

何より、依存してもらえれば、

それはもう支配と同じである。


しかし、うまく行かなかった。

地球からワイン、ビール、LSD、麻薬、

M星の技術では到底作れない、

嗜好品の数々だったが、

M星人には、

もともと酔うという概念がなかった。


試してはみるが、ものの2分で、

シラフに戻ってしまう。

そんなに複雑な脳を、

持ってないらしい。


技術も持ち込まれた。

宇宙船、自動車、ヘリコプター、

電気、水道、ガス。

しかし、彼等は全く覚えもしなければ、

喜びもしなかった。

学習という概念がないのだ。


ならばと、地球中から美女が集められ、

M星人に送られた。

子孫でも残してくれれば侵略が進む。


これもうまく行かなかった。

彼等には、

結婚して子孫を作るという

概念までもなかったのだ。


ことごとく計画が失敗した。

地球総司令部は、

ついに武力討伐を実施する。

50基からなる、大宇宙艦隊が、

M星に向けて出発した。


しかし、これも大失敗に終わる。

技術のすいを集めた最強の艦隊だったが、

M星人には勝てなかった。

いや、勝つ負けるという次元の話でもない。

彼等には、死という概念はなかった。


攻撃しても、死なない生物。

星を破壊して、資源をなくすわけにもいかず

撤退を余儀なくされた、大宇宙艦隊。


帰り道にこう呟く。

「概念がないというのは、

 1番どうしようもないことだ。

 それによって、集団は作られているのに。

 

 それでも、彼等は最強の軍隊から、

 自分の惑星を守ったと言える。

 もっとも、

 彼等にそういう概念はないのだろうが。」










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最強の軍隊 Grisly @grisly

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