第11話
「ま、まあ、いいわ。次に魔物を狩った時は街のギルドに魔物を持って行きなさい。ぜったいびっくりされるからっ。」
「え、あ、うん。わかった。わかったよ。サーシャ。」
サーシャはなんだか意味のわからないことを言う。
サーシャも私が理解していないことを知って、論より証拠とばかりに狩った魔物をギルドに持って行って買い取ってもらえと言う。
まあ、確かにギルドに魔物を持って行けば、私が狩った魔物が小物だということをサーシャも信じてくれるだろう。本当に弱い魔物だから、絶対二束三文にしかならないはずだ。
「さっ、気を取り直してお菓子をつくるわよっ!」
そう言ってサーシャは保管庫からいろいろな果実を取り出してくる。
粉っぽいなにかも用意している。あとは、ミルクだろうか白い液体も見える。
ちなみにサーシャが取り出してきた果実と思わしきものを見て私は目を見開く。
普通に食べると毒にしかならない果実がいくつもあるのだ。ちゃんとに処理すればとっても美味しい果実だということは聞いたことがある。だけど、その処理は一流の料理人でも難しいから市場にはほとんど出回らないとか。
そんな果実をサーシャはお菓子の材料にしようとしている。
サーシャはその果実の処理の仕方を知っているのだろうか。いや、知っているからお菓子の材料にしているんだよね。うん、そうだよね。そう思うことにした。
「あの……その赤い実って……。」
でも、気になってしまって私はサーシャに尋ねた。
「ああ、これ。赤くて美味しそうでしょ。甘酸っぱいんだよ。この果実。」
「あの……サーシャ、その果実の名前は知ってるの?その果実使ってること誰か知ってるの?」
「えっ?知らないわ。だって、街の外で偶然この果実が実ってる一体を見つけたのよ。美味しそうなのに動物も食べてないみたいだし、虫も食べてないし、いっぱい実ってたから持ってきたの。でね、甘酸っぱくて美味しかったから、これはお菓子に使えるなぁって思って。」
そう言ってサーシャはにっこり笑った。
私の知識が正しければ、その果実は毒薬に使われる果実だと思う。
それにしてもニクアルヨ街の近くにいっぱい実っているとは。知っている人がいれば毒薬作りに使っちゃうんじゃあ……。結構危険な気がする。
それに、動物も虫も食べてない自生している果実って普通に考えたら危険だって気づかないのだろうか。毒を持っているから動物も虫も食べることが出来ないって……。
「あの、サーシャ。今日はその果実使わずにお菓子作ってみようよ。なんか、サーシャのお菓子で体調崩すのってその果実が原因のような気がするんだよね。……気のせいだったらいいけど。」
「……そう?でも、この果実とっても美味しいのよ。いつまで経っても瑞々しいし。」
「……うん。っていうか、サーシャはその果実生で食べてもなんともないの?」
「……え?うーん、大丈夫だよ。」
サーシャは少し考えた後にそう言った。
本当に大丈夫なのかちょっと不安になる。
「ほんとに、ほんと?」
「え……あ、うん。まあ、ちょっとお腹痛くなったなぁ~ってことはあったけど、平気よ。大丈夫。」
「……それ、大丈夫じゃないんじゃあ。」
「わかったわよ。なら、今日は使わないわ。」
「うん。それが良いと思う。」
よかった。サーシャが渋々とだけど頷いてくれて。これで、一つ材料を減らすことが出来た。
でも、まだまだ気になる果実がいくつもある。それに、あの白い粉もなんだかとても気になった。
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