エピローグ2 太陽と星
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新暦一××年 ×月×日 八時三〇分
イグアス連邦 アリア宅
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アリア・アーマライトはシャワールームでシャワーを浴びていた。
肩口で切りそろえられた銀髪に、その背中には大きく十字架の刺青が入っている。
日課のトレーニングにアリアは何時もこの時間にシャワーを浴びている。だが、昨日は浴びなかったシャワーにそれはトレーニングを休んだからだ。そして、今日はトレーニングを休んだがシャワーを浴びている。
今日は任務に赴く日。
昨日トレーニングを休んだのは筋肉を休ませる為だ。そして、今シャワーを浴びているのは長い任務にしばらくの間は風呂に入れなくなるからだ。
一人暮らしにしては広い部屋。
シャワールームを出ると、アリアは朝日の差し込む部屋で荷造りをする。やがて出来上がったバックパックに準備する物はそれだけ。あとの必要な物は全て向こうに置いてある。
一人暮らしのアリアに伝えるべきことを伝える相手もいない。
広い部屋に住んでいるアリアだが私物が多い訳ではない。むしろ部屋には必要最低限の物しかない。
部屋には花が飾られていた。
しばらくの間家を空ける。生けているのは昨日買って来た新鮮な花で、アリアは水も新しくしようと花瓶の水を入れ替える。
花の横には二枚の写真が写真立てに入れられ大切に飾られている。
ハッキリ言って殺風景な部屋に、だからこそ唯一の飾られた花が目を引く。
目に留まる花に、アリアは出かける間際写真に向かうと言う。
「行ってきます」
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同日 二○時○○分
ファイアリー空軍基地
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すっかり暗くなった空。
出発まで一時間を切った時刻に空軍基地内は慌ただしく動いていた。
その中に独特の空気が漂う一角があった。
そしてその一角にアリアは居た。
アリアが居るのは格納庫。そこにはアリア以外に九人の男が居た。アラシに、アレックス、デイビス、ノーラン、ダイスケ、ファウラー、スタッド、マーク、クレイグ、ヒロ。
彼ら今回のメンバーであり、毎回アリアと共に任務に向かっているメンバーだ。
そしてアリアはこのチームの隊長だ。
地面に無造作に置かれたハードケースやバックに仕舞われているのは銃にボディーアーマーなどだ。
行われているのは装備の準備や点検。
今から任務に向かう者達が放つ空気に、張り詰めた空気とはまた違うのはアリア達にとってこれが一度目ではないからだ。
アリア達は何度も任務に赴いている。その慣れが独特の空気を漂わせていた。
アリアは自身のガンケースを開ける。仕舞ってあるのはフルカスタムしたアサルトライフルにハンドガンだ。
ライフルはURG-IのM4で、サイトにレーザーやライト、サプレッサーにフォアグリップが付いている。
ハンドガンはグロック17で、サイトにライト、グロックスイッチが付いている。
ライフルを手に取ると、チャージングハンドルを引いてボルトがスムーズに動作するか、引き金を引いてハンマーが正常に作動するか、サイトを覗きドットは正常に表示されているか、地面にライトやレーザーを照射して正常に光るかなど確認する。
それが終わると次はハンドガンを手に取る。
やることは同じ。スライドを引くとスライドはスムーズに動作するか、引き金を引いて引き金は正常動作するか、サイトを覗きドットは正常に表示されているか、地面にライトを照射して正常に光るかなど確認する。
バックには暗視ゴーグルや、電子イヤーマフ、無線機などが仕舞われており、それらも取り出すと銃同様に動作確認をするアリア。
慣れた手つきで触るアリアに、だが、サイトやライト、レーザーに、暗視ゴーグルや、電子イヤーマフ、無線機などは今の技術では作ることの出来ない物だ。
オーパーツとも言うべき物を手にするアリアに、その理由はアリア達が所属している部隊が関係している。
アリアが所属している部隊の名は特殊回収部隊、Special Collect Service通称SCS。
アークには銃を始め、戦車に戦艦、戦闘機など様々な武器や兵器の現物、あるいは設計図があった。
SCSは、アークに赴いてそれら兵器の設計図などを回収する為に組織された。
そして、今の技術では作ることの出来ない物を装備するアリアに、これらの物はアリアがアークから回収して来た物だ。
出発時刻が目前に迫った頃。
カーゴドアを開き待機するヘリに、アリアはその碧眼の瞳に決意を宿すと搭乗する。
時間になり機上の人となったアリア達に、与えられている作戦名はプロメテウス。
プロメテウスは人類に火を与えた神だ。そして、アークには核があることが判明している。
アリア達に与えられている任務は神人が残していったその炎を受け取りに行くこと。
戦争によって両国の国土の破壊されていった、とりわけ国境地帯は戦闘の激しさによって荒廃していった。
木々はなぎ倒され、塹壕が何処までも掘られ、全てが焼けていった。かつての自然豊かな国境地帯はもうどこにも無い。ただここを除いては。
アークは国境に跨るようにしてある。だが、両国ともアーク一帯への攻撃は行わなかった。それは、戦争はアークにある最先端技術を独占する為に始まったからであり、万が一にでも放った砲弾によってアークを破壊してしまうと独占しようとした知識や技術を破壊してしまうことになるからだ。
唯一残った自然豊かな国境地帯。
ヘリは夜の帳の中を誰にも気付かれることなく飛ぶ。
黒い布で覆ったかのような何も見えない大地、そこに小さな光があった。上空からの為小さく見えるそれは直径二メートル程の光の円で、だが、肉眼では絶対に見えない光はIRによるものだ。
IRタイプのケミカルライトをパラコードに括ると、それを頭上で円を描くように振り回す。
IRは暗視ゴーグルを付けていなければ見ることが出来ない。
バズソウと呼ばれる夜間信号に、暗視ゴーグルを付けた操縦手は信号を発見すると着陸地点を定める。
『着陸地点を確認。着陸まで一分』
「了解」
機内は薄暗い赤色灯によって照らされた。
パイロットの言葉に、アリアは銃に弾を装弾するとヘルメットを被る。
ヘルメットを被ると銃に弾を装弾する。
準備が完了すると数十秒もしない内にヘリは草原に着陸した。着陸と同時にヘリのカーゴドアが開く。
「今回そこは持って帰るぞ」
何度もそう言った。しかし、今だに持ち帰れていないことにだからそこアリアは瞳に宿した決意を口にする。
ここは既に危険地帯であり、何時攻撃されても可笑しくはない。とりわけ今は一番狙われるタイミングだ。
降りると同時に展開すると姿勢を低くし三六○度を警戒する仲間に、アリアも降りる。
直後幾つかの足音がヘリに向かって来る。
その足音は先程夜間信号を送って来たチャーリーチームのものだ。
アリア達はアルファチームであり、連邦は複数のチームをローテーションさせることで常にアークに部隊が居るようにしている。
アリア達アルファチームはチャーリーチームとの交替でアークに来た。
開いたカーゴドアから漏れる赤色灯の光によって赤く照らされる草原。
アリア達と入れ替わるようにして乗り込んでいくチャーリーチームの面々に、その中で一人アリアに近づいて来る者が居た。
街灯の下のような、赤色灯で照らされた範囲に入ると男は目を覆う暗視ゴーグルを上げ、顔を見せる。男はチャーリーチームの隊長だ。
チャーリーチームの隊長はアリアにバックパックを渡すと言う。
「キーはポイントC-9に隠してある。それと付近に熊が居た」
チャーリーチームの隊長は伝達事項を一方的に伝えると足早にヘリに乗り込んでいく。
その背中にアリアは言う。
「お疲れ様」
「武運を」
返って来たチャーリーチームの隊長の言葉に、ヘリがその言葉を掻き消すかのようにローターを回転させる。
チャーリーチーム一○人、全員が搭乗するとヘリは急上昇を開始し、数十秒もしない内にアリアの視界から消えてった。
飛び去ったヘリに、照らしていた赤色灯の光も消え草原には夜の闇が戻って来る。
「スタッド」
アリアは一人の仲間の名前を呼ぶと先程受け取ったバックパックを預ける。
チャーリーチームのガンベルトやプレートキャリアには予備のマガジンが挿さていなかった。
受け取ったバックパックに入っているのは弾薬や食料などだ。
この任務は長期任務であり、その間補給は一切ない。その為、撃たなかった弾や食べなかった食料は交替のチームに渡されている。
完全に暗くなった草原。アリアは暗視ゴーグルを下ろすと行動を開始する。
「行くぞ」
数十キロ歩いてアークに向かう。
直接アークに向かわないのは、そんなことをすれば敵にどこに降りたのか位置を特定されるからだ。その為、遠くに降りてから歩いて向かう。
夜陰に紛れて降り立つのも同じ理由で、日中に降りればどこに降りたのか位置を特定される可能性が高いからだ。
また、夜間に交替するのは敵に狙われないようにする為でもある。
停戦により戦いは停止した。しかし、アークにおいては停戦など関係ない。その最たる例が武装したアリア達が今ここに居ることだ。
アークに三つの敵が存在する。
一つがハンター。一つがスカベンジャー。一つが魔獣だ。
魔獣は、神人が現れてから発見された生物で、アークにだけ生息している。
動物と魔獣との違いはその凶暴さや凶悪な外見で、魔獣は高い攻撃性に、驚異的な戦闘力を有している。
ハンターは、アリア達SCSの殺害や妨害を行ってくる存在で、帝国が組織した部隊だ。
連邦はSCSに戦車や戦艦、戦闘機など様々な武器や兵器の設計図などを持ち帰ってもらうことで、その軍事力を強化してきた。その為、帝国からすればSCSに設計図などを持ち帰るのを阻止すれば連邦が強くなるのを抑えることが出来る。
スカベンジャーは、アークにて一攫千金を狙った存在で、連邦にも帝国にも属していない第三勢力だ。
アークは宝の山であり、暗視ゴーグルなど神人が残した知識や技術を手に入れることが出来れば大儲けすることが出来る。スカベンジャーはそんなアークドリームを夢見て集まった連中だ。
一秒もあれば敬礼は出来る。だが、交替の際アリアやチャーリーチームの隊長は敬礼をしなかった。それは交替のタイミングが一番狙われるタイミングであり、そこにはハンターの存在がある。
ハンター側からしてみれば交替のタイミングは一度に二部隊を壊滅させられるチャンスだからだ。
信号を送る際チャーリーチームも周囲に脅威がないことを確認してから信号を送ってきている。しかし、絶対の安全はなく、固まっていることを襲われないようにする為にあのようになっている。
アークにはダンジョンのような巨大地下施設がある。そして、核は地下の最深部に保管されている。
地下は複数のパスワードやカードキーなどでロックされている。
アリア達は現在アークの地下を攻略中であり、現在向かっているポイントC-9にはこれまでに攻略してきたルートのカードキーやパスワードのメモが隠されている。
交替時直接渡すことはせず、隠したポイントを伝えるのはスカベンジャーの存在があるからだ。
スカベンジャー側からしてみれば自分達で探すよりも、SCSに探すだけ探さして持ち帰ろうとしたことを奪った方が楽に遺物を手に入れることが出来る。
その為、鍵などは襲われても奪われないよう隠してポイントだけを伝えることになっている。
ハンターとスカベンジャーは共にSCSを狙って来る。連邦からすればハンターもスカベンジャーも似たような存在だが、区別できているのは、帝国が連邦にハンターを差し向けているように、連邦も帝また国にハンターを差し向けているからだ。
明るくなってきた空にアリア達暗視ゴーグルの使用をやめる。
森林を抜けた先に広がる草原。
森林の中を警戒しながら進むアリア達に、アリアの目は草原に動くものを捉えた。
アリアは拳を作った左手をスッと手を上げる。
「止まれ、一時方向何か居る」
アークには鹿などの動物も生息して居る。ただ捉えた何かにそれが人間なのか魔獣なのか動物なのかは分からない。
まだこちらに気付いていなくとも、急にしゃがんだり隠れたりすればその動作や音で気付かれる可能性がある。
アリアはゆっくり姿勢を低くすると木の陰に隠れる。
同じようにして隠れた仲間に、アリア達がいる場所に人の気配は感じられなくなる。
誰も微動だにしない中で一人動くのはアラシだ。
アラシの役職はマークスマンで銃はHK417。アラシはゆっくりと銃を構えるとスコープを単眼鏡として使う。
「敵だ。距離は二○○」
魔獣や動物であれば鹿なら鹿とその魔獣や動作の名前を言う。敵と言う言葉にそれが指すのは人間だ。
AK-47を手にした男は、森林に溶け込めるようオリーブドラブの戦闘服を纏っていた。ただ、帽子やヘルメットは被っておらず黒い髪を晒す男に、アリアはそれを捉えた。
それはアリアにとって見つけてくれと言っているようなものだった。
スコープを覗いたアラシに、男は連邦の戦闘服を着ていた。が、だからと言って仲間かとなればそうではない。
アークに居る連邦の部隊はSCSとハンターだけであり、ハンターはSCSとの同士討ちを避ける為にこの辺りには配置されていない。
その為、この辺りに居る人間は自分達以外は全員敵なのだ。
男は草原の中央に立っていた。
草原は森林に囲まれている。
三六〇見渡せる場所に、男は森林に向かって銃を指向すると、取り囲む森林を警戒していた。
周囲を警戒する男だが、男が警戒している方向にアリア達はいない。
アラシはその男のこめかみに照準を合わせると引き金を引く。
ピシュン。
HK417にはサプレッサーが付いている。籠ったようなそれでいて刺すような発砲音に男が倒れる。
「ヒット」
アラシはダストカバーを閉めると空薬莢を回収する。それは痕跡を残さない為だ。
倒れた男にアリアは言う。
「死体を調べる。ヒロ、デイビス着いてこい。あとは待機だ」
「了解」
アリアは、ヒロとデイビスに周囲の警戒をさせると死体を調べる。
頭を撃たれ男に、倒れた男の頭を受け止めた草花は血によって真っ赤になっていた。
アリアはとりあえず男の手から銃を取り上げるとマガジンを外す。そして、投げようとしたマガジンにアリアは気付く。
弾は一発数十グラムあり、それがマガジンには三〇発入るようになっている。その為、フルで入っているときと空のときでは、マガジンの重量の差は約五○○グラムもある。その為、マガジンは持てば大体あと何発残っているか分かる。
軽いマガジンには殆ど弾は残っていなかった。マガジンを捨て、装弾されていた弾も抜くと銃を捨てる。
男の死体を調べると、男の左手には楕円形の金属プレートが握られていた。
デニス、リチャード、ジム。握られていたそれはドッグタグで、戦闘服の胸ポケットには一枚の写真が大切に仕舞われていた。
ヘッドショットで頭が爆ぜた男に、アリアは男はこんな顔をしていたのかと思う。
写真には子供の肩に手を回す母に、子供と妻の肩に手を回す男が映っていた。
家族写真にアリアはそれを男の胸ポケットに戻してやる。
家族や恋人の写真に、子供が描いたパパの絵などは山ほど見て来た。ゴミとしてその辺に捨てても何とも思わないそれに、戻したのはアリアがそう決めているからだ。
男は写真とドッグタグ以外には何も持っていなかった。
踏み締められた草原には足跡が残っていた。足跡を調べると蹴ったような足跡に男が走っていたことが分かる。そして、森林から伸びた足跡に、足跡は男の背後ではなく正面にあった。
男は草原の中央まで走ってくると振り返ったのだろう。そして銃を構えた。
なんとなく想像ができたアリアは、無線に手をやると進もうと言おうとする。
長居はしたくないアリアが無線のスイッチを押そうとしたときだ、ガサガサと言う音に何かが森林の中を一直線にこちらに向かって突き進んでくる。
森林を抜け草原に姿を現したのは漆黒の巨大だ。
「グオォォォオ」
けたたましい咆哮に、男が銃を指向していた方向から魔獣が現れる。
それはブラックレイジと呼ばれる熊の魔獣で、ブラックレイジは血走った目に殺意を滾らせていた。
乱れた体毛にブラックレイジは傷だらけだった。
熊は自分が手に入れたものに執着する。男は仲間のドッグタグを回収していたのだろう。マガジンが軽かったのはブラックレイジと戦ったからで、残り少ない弾に男はここを決闘の場に選んだ。
草原であれば何処から来ても直ぐに見つけることが出来る。男はそこをアリアに見つけられた。
近づいて来ていたブラックレイジは、アリアが銃を持っていることに気が付くと足を止める。
ブラックレイジは銃が自分を傷つける武器であると知っているからだろう。
「グオォォォオ」
ブラックレイジは全長が三メートル程あり立ち上がると四メートル程にもなる。
立ち上がったブラックレイジはその巨体を大の字に広げて威嚇する。
殺意のこもった咆哮。しかしそれはアリアには届かない。咆哮のような大きな音はアリアが付けている電子イヤーマフによってカットされる。
アリアは自身の倍以上あるブラックレイジの目を見る。
ブラックレイジは脅威だ。今にも襲い掛かろうとするブラックレイジに、しかし、目を見るアリアは銃を構えようとはしない。
それはヒロとデイビスも同じで、それは目を見ながらゆっくり後ずさるという熊に対しての逃げ方をする為でもない。
ブラックレイジは手負いであり、アリア達が逃げようとしても襲ってくるだろう。それに、目を見ながらであればアリアはサイト越しに目を見る。
威嚇するブラックレイジに悠然と立つアリア。それはどちらが上か一目でわかる光景だ。
アリアが銃を構えない理由は一つ、それは既にアラシが銃を構えているからだ。
二○○メートル。メッセージの魔法では届かない距離に、アリアは無線のスイッチを入れると一言告げる。
「撃て」
『了解』
まだアラシの存在に気が付いていないブラックレイジに、命令を受けたアラシはわざとその見つかっていないという優位性を捨てる。
「ヘイ!」
アラシはあろうことか声を張り上げるとブラックレイジを呼んだ。
伏兵の存在にブラックレイジはアリアから視線を外すと声がした方向に振り向く。
ピシュン。
エイムを置いていたアラシは、声に反応し顔の正面をこちらに向けてくれたブラックレイジに、その眉間に弾丸を叩き込む。
「ナイスショット」
脳幹を撃たれ即死したブラックレイジは、ビクンと飛びあげるとまるで最初から倒れていたかのようにその巨体を地面に倒す。
森林地帯を抜けると街が見えて来る。
神人が居た時代ここは文明の中心地だった。
そこは神人の存在によって栄えた街であり、神人が姿を消すと同時に滅んだ街だ。
両国ともアーク一帯への攻撃は行わなかった。
拡大する戦火に街からは次々と人が消えて行った。攻撃されないアークの街は一番安全に思えたが、しかし、寂れた街は戦争が始まってから最初に人が居なくなった街だ。
両国は攻撃は行わなかっただけで、開戦以降アークではSCSやハンター、スカベンジャーなどによる戦闘が連日連夜行われていた。
住む場所を追われた住民達に、今街に居るのはハンターやスカベンジャーぐらいだ。
ポイントC-9にてキーを回収したアリア達は街を抜けるとやがてアークへとたどり着く。
そして、アークの地下へと潜っていくアリア達を二枚の国旗は見下ろしていた。
アークの空には日章旗と星条旗が燦然とはためいていた。
デビルズドロップアイテム ての @teno19
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