47 姉、追加参戦!
サムエルを迎えワイワイとやっていると、ギルドのドアが開いた。
「やっほー、遊びに来たよ!」
「うわ、姉さん」
「うわとは何よ、うわとは」
誰かと思えば姉さんだった。ギルメンでも無いのに平然と入ってくるのはやめて欲しい。
「お、話に聞いてたムーンの姉さんだな、始めまして。今日からここのギルドに入ったサムエルだ。よろしく」
「あ、そうなんですね。よろしく……?」
しまった、姉さんがサムエルの正体に気づきかけてる。変な事を口走る前に説明しなくては。
「ちょっと姉さんこっちきてくれないかなあ!」
「え、ちょっ、ムーン!?」
無理矢理裏庭の方に引っ張っていき、事情を説明する。
「ねえ、あれってこの間の神主さんだよね?」
「ああ。この間はややこしくなるから説明しなかったけどな。今はこの事態を解明してもらう為に色々手伝ってもらってる」
「なるほど、理解したよ」
「まあ、そんな訳だから事情知らない人間が居る場で言及するのは避けてくれ。今度改めて紹介するからさ」
「分かった!」
……大丈夫かな。
若干不安になりつつ中に戻る。
「すいません、ちょっと話したい事があって。もう大丈夫です」
「うん? まあ、話が済んだなら良かった」
よし、納得してもらえた。大丈夫。
「そういえば、今日は何をしてたの?」
「サムエルさんが新たにギルドに入るから、その手続きと歓迎会みたいな感じかな」
「ふーん、なるほど……」
姉さんが何か考え込む顔をし始めた。こういう時は大概ロクでもない事を考えているので、先に牽制を掛ける。
「変な事を言い出さないでね」
「そんな変な事考えてない。失礼な」
「じゃあ何考えてた?」
「いや、ついでに私もギルド入れてくれないかなーって」
「ほらロクでもない!」
然るべき段階を踏んだならともかくついでにって。しかも姉弟でギルドに入るとか他のメンバーがやり辛いだろう。許可が出る訳が……
「僕は別に大丈夫だよ?」
「ルースさん!?」
何故かルースさんから許可が出てしまった。いや、別のメンバーから許可が出る訳が……
「ムーンちゃんのお姉さんだし、私は大歓迎だよー」
「そうですね、私も大丈夫です」
「織姫姉なら別に良いだろ」
「俺は入ったばっかだし、他の判断に任せるわ」
マジか。姉の味方ばっかじゃないか。
「という訳で私も今日から参加するね! 26歳だからちょっとみんなより歳上だけど、よろしく!」
「お、俺と同じだな」
「えっ!?」
え、サムエルのおっさんって26歳なの? どう見ても30代じゃん。外見とのギャップ酷くない?
「……サムエルって老け顔なんですか?」
「失礼だなムーン!?」
「いやだって、どう見ても見た目30代だし……」
頭がおかしくなりそうだ。姉さんと同い年なら全然おっさんじゃない。更に追撃が俺を襲う。
「ああ、2人とも僕より2つ下なんだね」
「ええ!?」
「言ってなかったけど、僕28歳だからね」
こっちはこっちで童顔すぎる。横を見ると和希はやはり衝撃を受けたのか動揺しているのに対して、星奈は至って普通の様子だ。
「カリン、知ってたの?」
「うん。私とパメーラは、ルースさんと他のゲームで遊んでた時から年齢は知ってたから、PPOで会ったときは見た目が若いとは思ったけどそこまでの衝撃は無かったかな。けど、初めて知ったらびっくりするよね」
びっくりするどころではない。サムエルよりルースさんの方が年齢が上とか信じたくない。
「……おい、ムーン。さっきからこっち見つめてないで言いたい事あるなら言え」
「ごめん、やっぱおっさんにしか見えない」
「おいコラ引っぱたくぞ」
「年齢相応に見て欲しかったらちゃんとそれっぽい格好をしてください!」
せめて無精髭は剃って欲しい。あ、いやリアルだと剃ってたか。なるほど、確かにリアルの格好なら26歳でも納得出来るかもしれない。
「あっはっは、冗談だよ。PPOだとロールプレイでわざと中年っぽく見せてるからな。むしろ成功してる証だから文句なんてねえよ」
「なんだよ、もう……」
だったら文句言わないで欲しいというか、逆に思惑に引っかかっていた事に腹立つ。
「それにしても、ムーンの姉さんと同じ年とはな。今度1回ちゃんと話したいな」
「私も私も! その時はぜひ誘ってねー!」
一応この2人はほぼ初対面なはずだが、何故か既に気楽に話せている。コミュ強怖い。
「それじゃ……サムエルさん歓迎会改め、サムエルさんと織姫さんの歓迎会を祝して……乾杯!」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
「かんぱーい……」
こうして何故か姉さんがギルドに入る事になってしまった。姉さんの事だから、これからまた引っかき回されそうだ……
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