10 新メンバー登場!
「大丈夫かい? 怪我はない?」
「あ、え、ええ。大丈夫です。ありがとうございました」
予想外のイケメンに少し動揺していると、近くから別の女の子が話しかけてきた。
「またそうやってキザにカッコつけるんだから。気にしなくて良いよ、いつもこんな感じだから」
「あ、はい」
「特にそういうつもりは無いんだけどな」
いつもからそれならそれはもうカッコつけではなくてそれが普通なのではなかろうか。というかこの人達誰だ。
「あ、ルースとパメーラだ」
「待たせたね、カリン」
「お待たせー。それにしても危なかったね」
「はい、助かりました」
実際、あそこで割り込まれなければそのまま死んでいた。
さて、こっちも自己紹介しよう。えーっと、丁寧な言葉遣いで……
「それじゃあ、自己紹介を。僕はルース。職業はタンク、武器は斧。よろしく」
「はーい、私はパメーラ。ヒーラーだよー、装備は杖。よろしく。ちなみに2人共カリンの知り合いだから遠慮しないでね」
なるほど、この2人がカリンの言っていた2人か。とりあえず良い人そうで良かった。まあカリンが変なのを連れてくるとは思ってなかったが。
「こちらも自己紹介しますね。私はムーン。職業はアタッカーで、武器は大剣です」
「なるほど。よろしく」
とりあえずルースさんに自己紹介をする。問題はなんか挙動不審になりかけてるパメーラさん。
「この子、かわいい……!」
なんか目を輝かせてるんだが。危ない気配がする。カリンはなんだかんだ常識の範囲内で可愛がってくる感じだが、この人はヤバいと本能が告げている。
「か、可愛い! 抱かせて!」
「嫌です」
「そんな!」
なんというか、第一印象に比べてかなり残念な人らしい。こんな人がヒーラーとして後ろから支えるとか大丈夫か? とりあえず要注意人物としておこう。
「な、なんか心の距離を感じる……」
「気のせいですよ」
エスパーかよ! と心の中で突っ込んだのは秘密だ。
その後、結局4人でレベル上げする事になった。他2人との連携合わせという面もある。
「あっ、痛っ!」
「私のムーンちゃんに手を出すな! ヒール!」
いや、俺パメーラさんの物じゃないんだけど。
「ムーンはパメーラちゃんの物じゃないよ……」
「そうだ。あんまりそういう発言はやめよう。ムーンちゃんも困るぞ」
「はーい……」
他2人からも追撃が入った。助かる。
そうこうしている内に4人の連携も取れてきて、俺のレベルも上がった。
「私のレベル上げに付き合ってくれてありがとうございました。助かります」
「ムーンちゃんの為ならいくらでも頑張るよ!」
「気にしないで。どちらにせよ連携の練習はしないといけないしね。ところで、一緒に戦っていて気づいたんだけど。もしかしてVRでの体の動かし方にまだ慣れてない?」
「うっ……実はそうなんです……」
実はVRだけでなくリアルもそんな感じなのだが、それは黙っておく。実際、VR慣れていないのも嘘は言っていない。
「そうか。大丈夫、それなら慣れるまで僕がカバーするから」
「ありがとうございます」
正直あんまり慣れたくは無いんだけどなあ。慣れれば慣れるだけ女の子っぽくなっていく訳だし……とはいえ迷惑を掛ける訳にはいかない。ゲームの中だけでも慣れないとな。
「しかし、女子3人に男子1人は結構居心地が悪いな」
「ははは……気にしないでください」
気持ちは分かる。かといって実は中身は1人男なんです、なんて言えないので心の中で同情しておく。
「明日からはもう1人合流しますし、男子なので安心してください」
「それは助かる。会うのが楽しみだ。それから……少し良いかい?」
「はい?」
急にルースさんが自分の事をガン見してくる。え、紳士かと思ったらこの人も危ない人なの?場合によっては扱いを考えなくてはならないのだが。
「あのー……何か付いてます?」
「ああ、ごめん。知り合いに似ている気がしたんだけど、気のせいだったようだ。忘れてくれ」
……この姿を知っている? こんな見た目の人物は早々居ないし、当然自分はルースさんと知り合いではない。見た目的にも脳内で合致している自分には思い当たらない。とはいえ、実は違う姿になったのでもっと詳しく教えてくださいなんて口が裂けても言えない。結局、モヤモヤが残る形になってしまった。
◇
「それじゃあ、今日はお疲れ様」
「お疲れ様ー!」
「とりあえずみんなレベルもそこそこ上がったし、良かったんじゃないかな?」
「そうですね。明日への準備はバッチリだと思います」
「それじゃあ、みんな。また明日!」
「「「また明日ー」」」
そう言ってルースさんとパメーラさんは落ちていった。
「それじゃあ、私も落ちようかな?」
「待ってくれ。カリンってルースとどこで知り合った?」
「え? 普通にネトゲだけど……どうしたの?」
「いや、実はルースさんが自分の姿を知り合いに似ているって言ってたんだよ。勘違いだって言ってたけどこんな姿に似ている人なんて早々居ないだろ?」
「なるほど……確かに気になるけど、直球で聞く訳にもいかないし……」
「だよなあ。とりあえずこの一件は保留にしておくか」
2人でそう結論付け、頭の片隅に置いておく事にした。
◇
翌日、和希も合流してパーティーが全員揃う。そして……
「さて、今日からいよいよメインストーリー1章が開放です。5人で頑張って攻略しましょう!」
「「「「おー!」」」」
ついに、1章攻略が始まった!
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