第7話 命乞い
「これで終わりだ。魔法師団が本気を出せばお前程度殺すことなど造作無い!」
王様がそんなようなことを叫んでるな。ま、イメージだが。とは言え確かに数が多いな。放っておくのも面倒だ。
俺は口内でゲル状の唾液を溜め、歯噛みし火花を発生させて吹き出した。発生した炎が詠唱していた魔法師団の連中をあっという間に飲み込み焼きつくす。
「ひ、ひぃぃいい! ひいぃいいい!」
王女とやらが尻餅をつき情けない声を上げていた。王様も愕然としている。
「ば、馬鹿なステータスもスキルも無いゴミがなぜこんな魔法を……」
別に魔法じゃないがな。とは言え並の人間に出来ることでもない。暗殺者として育てられた俺の体内には一般の人間ではありえないほどの物質が蓄積されている。
俺はナパーム弾に使用された物質を体内で生成することが可能だ。
それを利用すればこの程度の炎を発生させるなど造作もない。
その上、俺の場合体内で物質の配合を変えてるのでより強力な物となっているがな。
「サンダーペネトレイト!」
そんなことを考えていたら今度は雷の槍のようなものが高速で飛んできた。
「やった! あたったぞ! どうだ! 俺のスキルは付与魔法だが槍に雷を付与することでこんな事もできるんだ!」
「ふ~ん」
「は?」
飛んできた槍は手でつかんで止めていた。確かに中々バチバチしてるな。吉川が何かしたらしい。
「そんな……雷が付与されてるのに何でそんなに平然としてるんだよ!」
「暗殺者なら当然だな」
生まれた時から暗殺者として生きていく術を叩き込まれてきた。あらゆる拷問に耐えられるよう高電圧の電気ショックを一ヶ月にわたって浴び続けるとかな。
おかげで雷ぐらいなら直撃したところで平気なぐらいには鍛えられた。その俺からすれば吉川が行使した雷なんてちょっとした電気マッサージみたいなものだ。
「電撃で倒したいならせめてこれぐらいやるんだな」
電気ショックを受け続けるという修行のおかげで俺は体内の電気もコントロール出来るようになった。
その成果か俺はデンキウナギみたいに電撃を発生し攻撃に利用できる。もっとも俺の場合より強烈な放電が可能だ。
証拠とばかりに右手を突き出すと腕から放たれた電撃が吉川の体を貫いた。
途端に吉川が激しく痙攣した。
「いぎゃばばばばばばぁあふぁふぁsふぁふぁふぁxヵじゃ!?」
そして眼球が破裂し全身が黒焦げになって傾倒した。その後もピクピク痙攣を続けたがもう生きてはいないだろう。
「さてと――」
後何人残ってたかな? 確認すると残ったクラスメートの肩がビクッと震えた。
「お、お願い許して」
「お、俺たち何もしてないだろう?」
「何か気に入らないことがあったら謝るから」
「そう言われても、もう決まってたことだからな」
怯えた子犬のような目で残ったクラスメートがこっちを見ているが、俺だって別に理由もなく殺してるわけじゃない。
「猟牙――先生は悲しいぞ。お前はいつからこんな酷い真似を平気で出来る男になったんだ? これは教育が必要だな」
俺の耳に担任の香川の声が聞こえてきた。
見ると妙に落ち着いた様子の香川が立っていた。
「先生。悪いけどあんただって俺の暗殺予定に入っていた」
「はは、私をか? やはりとんでもないな。ならば教育的指導だ。猟牙今すぐ攻撃をやめなさい」
「…………」
ふむ――
「大人しくなったな。はは、当然だ。これが私のスキル【教育】の効果。教育の名のもとに私は相手を従わすことが出来る」
「さ。流石です! やはり私の目に狂いはなかったですわ。異世界人には強力なスキルが――」
王女が喜々として香川を褒めていたがその間に香川に近づきその首を引き千切った。
頭をなくした香川の胴体が床に崩れ落ちた。随分と自信満々に語っていたが暗殺者として育った俺は精神を強化する訓練も受けていた。
だからあらゆる洗脳も催眠も薬物も俺には効かない。この世界のスキルであってもそれは変わらなかったようだな。
「さてと――」
俺は残ったクラスメートを問答無用で始末していった。泣きながら命乞いするのもいたが殺すと決めた以上殺す。それが暗殺者だ。
「ヒッ、待って! 待ちなさい! 私は配信者としても有名なのよ! テレビにも出ているし殺したりしたらタダでは済まないわよ!」
「異世界でそれを言われてもな」
身の危険を感じたのか荒北 恵利が頓珍漢なことを宣ってきた。しかし異世界ではそんな知名度何の意味もない。
「わ、わかったわ。私のことを好きにしていいわ。私これで胸だって大きいし、興味、あるでしょ?」
そんなことを口にしながら恵利が制服の前を開け始めた。
確かに大きいようだが――
「バカね!」
その時、荒北のスカートから尻尾が伸びてきて先端の針が俺の首に刺さった。
「あはは、私のスキルは蠍化。蠍の力が使えるの。その針には猛毒が仕込まれてる。あんたは終わりよ!」
「悪いが――」
首に刺さった針を抜き、荒北を見ると彼女の顔色がみるみる変わっていった。
「ど、どうして? 毒はすぐに回る筈なのに……」
「俺は暗殺者だと言っただろう? 当然あらゆる毒に耐性を持っている。そういう修行を続けてきた」
荒北が唖然としていたが暗殺者ならそれぐらい当然だろう。
「それでこの毒はお前自身にはどうなんだ?」
「へ?」
俺は抜いた針をそのまま荒北にぶっ刺した。目玉がグルンっと上を向き全身が紫色に変色し泡を吹いて倒れた。直後全身の血管が破裂したのか血まみれになっていた。
「自分の毒でやられてるようじゃ世話ないな」
スキルというのも随分と穴があるものだ。
さて、これで始末する予定だったクラスメートは全員殺したかな――
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