「クロ主任、すいませんでしたー」

　久々に出社したねこさんは、クロ主任に謝罪した。

「いいんだよ、ねこさん。それより呪いが解けてよかったね～」

「はーい！　ありがとうございまーす！」

「ひっ！？」

　ねこさんが右手をぶんぶん動かすと、反射的にびくつくクロ主任だった。

「じゃー、はりきって、いってみよー！」

　やる気満々で、着ぐるみを着ていく。

「あ、そうだねこさん！　今日から新人が来るから、面倒見てやってね」

「！　新人さん！？」

　なんと、ねこさんは新人の教育係に任命された！

「っと、うわさをすれば……やあ、おはよう！」

　クロ主任が元気に挨拶する。

「あ、おはようございます！　クロ主任……と？」

　ねこさんを見て、小首を傾げる新人さん。

「ああ、この人（猫）がねこさんだよ」

「わあ、そうなんですね！　おはようございます、先輩。わたし、みけ子って言いまっす！　よろしくお願いしまっす！」

「……せ、先輩！？」

「はいっ！」

　キュートな笑顔に戸惑うねこさん。

「ほら、ねこさんも挨拶挨拶！」

　クロ主任の声にはっとして、挨拶を返した。

「お、おはようござりまするー。ね、ねこさんなのねー、よろしくなのねー」

　一瞬武士めくねこさんだった……。

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