20 ねこさん、聖剣にお願いされる!?

「ナ、ナンダッテー!?」


『あ、もう読みづらいんで、普通でいいです』(……読みづらい、とは?)


 当然ねこさんも、えー!? と困惑していた。


『私の装備者となったねこさんにしか、頼めない事なのです』


 だが聖剣は、マイペースで話を進める。


『実はとあるダンジョンに、私の姉妹品……こほん。私の双子の片割れが封印されているのですが……』


「……くー」


 話が長くなりそうだったので、ねこさんは反射的に眠ってしまった!


『ねこさん? はあ……ねこさん、起きないとおひげが全部なくなってしまいますよ?』


 ゆらりと聖剣が、その頬に触れる。


「うーん、もふもふなのねー……はっ!? 殺気!!」


 あと数ミリスライドすれば、おひげは天に召されるところだった。


『おはようございます、ねこさん』


「おお、おはようごじゃいます……」


 聖剣の冷たい視線? にねこさんは震え上がった。


『で、お願いがあるんですが──』


「やらせていただきます!」


 食い気味の即答だった。


『そうですか。依頼は私の片割れの封印を解き、ねこさんが装備者になる事です。悪い話じゃないでしょう?』


「はい、なのねー。それでその片割れさんは、どこに封印されているんですかー?」


 その質問に『にゃんこの棒』は、にやり、と微笑んだようだった。


『ここからかなり離れた場所になるのですが、『ダンジョンまたたび』はご存じでしょうか?』


 ねこさんの顔が、引きつっていた。


『そうですよね。あなたたちにとっては、天国とも地獄ともいえるダンジョンです』


 こくこく、と頷くと、懇願するような瞳で聖剣を見た。


『少し猶予を差し上げましょう』


「あ、ありがとなのね……遠征資金も不足気味だし……とりあえず、バイトをがんばるのね」


『わかりました。無理なら無理って言って下さいね』


 最後には優しさを少し見せた聖剣にねこさんは頷き、また眠りに落ちるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る