「あ、先輩って今、着ぐるみ着てるんですよね？」

「そうなのねー」

　みけ子の質問に、着ぐるみらしいオーバーな身振りで答えるねこさん。

「ちょっとそのお顔を見せてほしいなー、なんて？」

　上目づかいでかわいらしくおねだりである。

「え、えー？　そんなたいしたもんじゃないのねー」

　言葉とは裏腹に、そそくさと頭に手を伸ばした。

「じゃ、じゃあいくのね！」

　すぽ、と着ぐるみの頭が外されると……。

「……え？」

「はーい、ねこさんですよー！　よろしくなのねっ！！」

「……」

　困惑さんが、クロ主任を見る。

「ん？　何かあったかい？」

「え、えーと……」

　着ぐるみから出てきたねこさんの顔は、着ぐるみの顔と瓜二つだった。

　いや、ぬぎぬぎ、と着ぐるみを全部脱いだのだが、それと全（・）く（・）同（・）じ（・）も（・）の（・）が中から出てきたのだ！

　ねこさんは、ねこさんと全く瓜二つな猫の着ぐるみを着ていた。

　え？　着ぐるみを着る意味とは……？

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