11 ねこさん、ジョブチェンジする!?

 ねこさんは今、社員食堂の厨房にいた。


 着ぐるみを着て風船を配るというデリケートな作業は、今の状態では無理なのであった。


 よって、急遽暫定的な配置転換が行われたのだ。


「よろしくお願いしまーす」


 食堂のハチワレ主任に元気よくあいさつをする。


 妖しい紫色の短剣を突きつけて……。


「ひぃぃっ! ねこさん、短剣、短剣しまって!」


「あ、すいませーん」


 と言ってもしまうことはできないので、そのまま手をぶらぶらさせた。


 主任はびくつきながらも状況を把握し、最適なポジションにねこさんを配置する。



「わー、料理って楽しいかもー」


 ものすごい勢いで、キャベツの千切りが出来上がっていく。


「うむ、わたしの目に狂いはなかった」


 主任は満足そうにその千切りを見た。


「え? なにこの色!?」


 呪いの短剣で切られたキャベツは、口にしてはいけないような、そんな色合いをしていた……。

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