10 ねこさん、荒くれ者とまちがわれる!?

 ねこさんは、走っていた。


 右手にはりついた短剣を、どうしたものかと思案しているうちに、出社が遅れてしまったのだ。


 短剣を持って爆走するねこさん。


 その道すがら、誰にも会わなかったのは、何故だろう?



「はあ、はあ、おはようございまーす」


 ギリギリ滑り込んだねこさんは、いつものように挨拶をした。


「ああ、ねこさん。今日はおそ……」


 出迎えたクロ主任が、ぴしり、と固まる。


「襲わないで~っ!」


 妖しい紫色の短剣を握った鬼の形相なねこさんに、主任は蒼白で土下座した。


「……あ」


 右手の短剣に気づいたねこさんは、慌ててホールドアップ!

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